ご家族からお知らせいただきました。
11月20日未明、作曲家の三沢郷先生が永眠されたそうです。
享年79歳。
『サインはV』『アテンションプリーズ』『デビルマン』『流星人間ゾーン』『エースをねらえ!』などの華麗な「三沢節」が忘れられません。
70年代後半から日本を離れ、ハワイを経て、アメリカ西海岸に移住されていました。
昨年より病気療養中でした。
劇伴倶楽部の「劇伴Creator Who's Who」に書いた、三沢先生の項を以下に転載します。
三沢 郷(みさわ・ごう)
作曲家。
1928年2月26日生。福岡県出身。東京大学文学部哲学科美学科卒。ラジオ・プロデューサーを経て、男性コーラスグループ“フォーコインズ”を結成、リードボーカル、アレンジャーを務めた。
フォーコインズは、ダークダックスやボニージャックスに対し、ジャズを基調としたコーラスとして活躍、CMソングなども歌っていたが、メンバーのひとりが交通事故で亡くなったことから解散。作曲に専念するようになった。
以後、テレビドラマ、CM、アニメなどに多くの曲を提供している。
CMに「エメロン石鹸」「龍角散トローチ」など。
テレビ番組では、70年代の子ども向け番組に印象的な仕事を残している。
ドラマでは、
- 1969『サインはV』
- 1970『アテンションプリーズ』
- 1972『赤い靴』
テレビアニメでは、
- 1972『正義を愛する者 月光仮面』
- 1972『デビルマン』
- 1973『ジャングル黒ベエ』
- 1973『ミクロイドS』
- 1973『エースをねらえ!』
特撮TV映画では、
- 1973『流星人間ゾーン』
- 1973『ファイヤーマン』(挿入歌1曲のみ)
いずれも、メロディのカッコよさ、アレンジの巧みさでファンの人気は高い。
三沢サウンドの魅力は、ときに力強く、ときにセンチメンタルなフレーズを緩急自在につなぐ、シャープでスピード感のある旋律。
歌い出しから聴く者の心をつかむ巧みな導入部から、サビに向けて加速していくみごとな高揚感、期待を裏切らないサビの盛り上がり、どの曲も一度聞いたら忘れられない印象を残す。
また、アニメ・特撮ファンの間では「豪快なイントロの三沢郷」と呼ばれるほど、そのアレンジには特徴がある。
とりわけ、「月光仮面」「デビルマン」「ミクロイドS」「流星人間ゾーン」などのヒーローソングにおいては、金管とストリングスがうなる壮大なイントロが聞く者を圧倒する。
さらにすごいのは、イントロだけでなく、中身の方もテンションが落ちないこと。
アニメ・特撮主題歌の多くでは、アップテンポの曲をスローで演奏するとバラード風のしんみりした曲に聞こえるのだが、三沢郷の場合はその例にあらず。とにかく、頭から豪快に飛ばさないと曲のよさが生きないのだ。
世代を超えてファンに支持されているのは、力強く、しかも繊細な曲想のゆえだろう。
(1998/6/6)
この記事を書いたことがきっかけで三沢先生からメールをいただき、7年間にわたって文通させていただいていました。
70歳を超えてから一線を退かれたそうですが、音楽への情熱は相変わらずで、プライベートCDを送っていただいたり、最近聴いた音楽の話をうかがったりしてました。
最近のメールでも「快方に向かってます」と書かれていたので、ほっとしていたのですが…。
残念です。
ご冥福をお祈りいたします。