2008年03月31日

ドラマになって変わるわよ!!「キューティーハニー THE LIVE」

 しびれるなぁ、青ハニー。
 TV東京系で放映されたドラマ『キューティーハニー THE LIVE』は、脚本・シリーズ構成の井上敏樹の個性が色濃く出た作品でした。無垢な主人公をアクの強いサブキャラクターが取り囲む人物配置。野心と裏切りが渦巻くストーリー。でも、ハニーを無邪気なまでに明るい陽性キャラにしたのが成功でした。サブキャラをこってり描くことで、主人公ハニーがどんどん魅力的に見えてくる。同時に、主人公である赤ハニーと対照的に描かれた青ハニー(ミキ)=悲しみのハニーが光ってましたよ。アクションもよかった。

 音楽は、アニメ『もえたん』の音楽を書いた渡辺剛が担当。
 サントラ1曲目が、妖しくも美しい烏川真由美のテーマ(嘆きのロンド)という意表をついた構成。2曲目は歴代ハニーでおなじみのパヤパヤスキャット(Hi Honey)。軽快なスキャット曲「Happy Days」、60年代グルーヴを感じさせる「Run&Run」と続いてテンションが上がります。次に登場するのが青ハニーのテーマとも呼べるメロウな「Blue Pain」。緩急のある構成がいいなぁ。全40曲収録と、新作サントラとしては曲数が多いのもうれしい。

 全体に、懲りすぎず、奇をてらわず、ストレートな楽曲ぞろい。個性の強いキャラクターばかりなので、音楽も振れ幅を大きくとっていますね。本編が、終わりに近づくにつれシリアスに湿度高くなってきたのに対し、音楽がからっとしているのが救いでした。

 そして、渡辺岳夫の「キューティーハニー」のメロディが35年を経てもまったく古びないことに、いちばん感動します。


<収録曲>

  1. 嘆きのロンド(烏川真由美のテーマ)
  2. Hi!Honey
  3. Happy Days
  4. Run&Run
  5. Blue pain
  6. 如月博士の発明
  7. 良心の隙間
  8. いきなり大ピンチ
  9. White rhapsody
  10. 弱者よ消えろ
  11. 三人の男
  12. 疑心
  13. 混沌
  14. 拷問
  15. 豹の爪
  16. Are You Kidding?
  17. Gen−San
  18. Comical Honey
  19. Hurry
  20. demoniac
  21. Hold on!Honey
  22. Regret
  23. Rumble in the jail
  24. 侵食
  25. 瞬間最高最速バトル
  26. 降臨
  27. アンドロイド!?
  28. SHIT!!
  29. 禁断の果実
  30. まいど!!
  31. 処刑
  32. End of the Party
  33. Time out
  34. Don’t cry Honey
  35. Memory
  36. Tragedy
  37. Last Dance
  38. Soldier of love
  39. キューティーハニー(TV size)(ワイルド三人娘)
  40. BUT,metamorphosis(TV size)(栗林みな実)

キューティーハニー THE LIVE オリジナル・サウンドトラック

 : キューティーハニー THE LIVE オリジナル・サウンドトラック

キューティーハニー THE LIVE ボーカルアルバム
 ミキversionとユキversionのエンディング曲を収録。せっかくのボーカルアルバムなのに、オープニングとエンディングはシングルを別に買わないといけないのがちょっと悲しいですよ。

 : キューティーハニー THE LIVE ボーカル・アルバム

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おかしなおかしな胃の頭町「栞と紙魚子の怪奇事件簿」

 日本テレビ系のドラマ、『栞と紙魚子の怪奇事件簿』。あまり期待しないで見始めたら意外に面白くてハマってました。
 諸星大二郎の漫画が連続ドラマになるんだから、すごい時代になったものです。

 わしは「怪奇ハンター」時代からの諸星ファン。ドラマはけっこう原作をアレンジしてますが、みょう〜にゆるいところが原作の雰囲気をよく出してる。諸星原作は、シリアスな作品より、こういう作品のほうが映像化に向いてますね。

 で、深夜枠1クールの放映作品ですからサントラ出ないだろうなぁ……と思ってたら、出ましたよ! やたっ!!

 聴いてはじめて、メインテーマは主題歌「赤い胃の頭ブルース」のインストだということがわかりました。主題歌はTVサイズ歌入りも収録。
 BGMは、バロックとロックと現代音楽が同居する、なんとも強烈な出来。かと思うと、「Tema di Shimiko」や、その変奏「Damigella Sentimentale」、大団円風の「Risoluzione」などは美しく叙情的な仕上がり。平野義久氏の音楽性の広さに感動します。
 ボーナストラックとして、第5話「長い廊下伝説」の挿入歌「長い廊下伝説」「嗚呼、待ちぼうけ」が収録されているのも、ファンにはうれしいポイント。

 曲タイトルはイタリア語でつけられています。「なんでイタリア?」と思ったんですが、聴いていくと納得。グロテスクとユーモアとはかなさがただよう胃の頭町の物語は、フェリーニの世界なんですね。本作の音楽は、フェリーニ映画のニーノ・ロータの音楽をほうふつさせるサウンドなんですよ。諸星大二郎にロータ、たしかに合うような気がします。
 以下、曲名に英語訳をそえて紹介しましょう。


<収録曲リスト>  ()内は英語訳

  1. Rock d'Inoatama   (Rock of Inoatama)
  2. Tema di Shiori   (Theme of Shiori)
  3. Tema di Shimiko   (Theme of Shimiko)
  4. Miracolo   (Miracle)
  5. Mastro   (Master)
  6. Citta di Grottesco   (City of Grotesque)
  7. Mistero   (Mystery)
  8. Spazio Fantomatico   (Imaginary space)
  9. Omicidio   (Homicide)
  10. Oasi   (Oasis)
  11. Damigella Sentimentale   (Sentimental damsel)
  12. Occultismo   (Occultism)
  13. Ballata di Shiori   (Ballad of Shiori)
  14. Valzer d'Inoatama   (Waltz of Inoatama)
  15. Seguimento   (Follow)
  16. Sogno   (Dream)
  17. Dolore   (Pain)
  18. Crisi   (Crisis)
  19. Grave Crisi   (Serious Crisis)
  20. Presentimento   (Presentiment)
  21. Samba D'Inoatama   (Samba of Inoatama)
  22. Fuggimento   (Escape)
  23. Sigh   (Sigh)
  24. Risoluzione   (Resolution)
  25. 赤い胃の頭ブルース(TVサイズ) / eastern youth
  26. 赤い胃の頭ブルース(オープニング・インストゥルメンタルヴァージョン)
  27. 長い廊下伝説 / 宇論
  28. 嗚呼、待ちぼうけ / 岳&文江

 本編が観られない、または見逃してしまったという方は、公式サイトで全話無料配信中(期間限定)なので、ぜひご覧ください。

栞と紙魚子の怪奇事件簿 オリジナルサウンドトラック

 栞と紙魚子の怪奇事件簿 オリジナルサウンドトラック

◎赤い胃の頭ブルース (eastern youth)
 テルミンによる怪しいイントロが印象的な主題歌。フルサイズはネット配信限定リリース!
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 赤い胃の頭ブルース

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2008年03月28日

「さよなら絶望先生」と長谷川智樹のディープな世界

 『さよなら絶望先生』の音楽が長谷川智樹さん、と聞いて、なんとも意外に思ったわけです。

 長谷川さんといえば、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(91年版、いわゆる「海モモ」)、『熱血最強ゴウザウラー』、そして『NANA』。ストレートで情感系の作品のイメージが強い。

 『絶望先生』みたいなシュールな作品は、増田俊郎さんなんかが得意そうな感じです。

 でも、実は長谷川さん、『DearS』とか『くじびきアンバランス』みたいな作品もやってるんですね。

 できあがったサントラは、これまでの長谷川さんのイメージを裏切る、刺激的なものになりました。
 たとえば、レトロで風変わりな感じを出すために生のミュージックソーを使っている。いまどき、シンセを使うのがふつうなんですが、わざわざミュージックソーの演奏家を呼んだそうです。
 ストーカーのテーマは、60年代から70年代のグルーヴを感じさせるオルガンサウンド。
 一方で、昭和の懐かしさを感じさせる美しいストリングスの曲もある。
 長谷川さんが影響を受けたという、ジョージ・マーティン風なポップな味わいもまぶされていて、「長谷川智樹見本市」といったおもむき。

 さらに昨秋は『魔人探偵脳噛ネウロ』なんてヘンな作品までやってしまっている。これも聴き応えのある快作です。

 年が明けて、『俗・さよなら絶望先生』の放映が開始されました。音楽も追加録音されています。エンディング曲「マリオネット」はローリー寺西さんと長谷川さんの共作で、サビの部分を長谷川さんが作曲。ギターも長谷川さんの演奏です。

 『NANA』の、感情の幕を一枚一枚はがしていくような繊細なサウンドにも感嘆しましたが、『絶望先生』の長谷川さん、さらに一皮むけたって気がしますね。

さよなら絶望先生 オリジナル・サウンドトラック 「絶望劇伴撰集」

 : さよなら絶望先生 オリジナル・サウンドトラック

さよなら絶望先生 序 〜絶望少女撰集〜 [DVD]
 特別編DVD。サントラ盤未収録BGM26曲を収録したCDを同梱。

 : さよなら絶望先生 序 〜絶望少女撰集〜

俗・さよなら絶望先生 オリジナル・サウンドトラック 「俗・絶望劇伴撰集」

 : 俗・さよなら絶望先生 オリジナル・サウンドトラック

マリオネット (ROLLYと絶望少女達)

 : マリオネット

魔人探偵脳噛ネウロ オリジナル・サウンドトラック
 こちらはゴブリンなどのイタリアンホラー音楽を思わせる、妖しく華麗なつくり。

 : 魔人探偵脳噛ネウロ オリジナル・サウンドトラック

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2008年03月27日

墓場へようこそ!「墓場鬼太郎」

 出たよ出ましたよ!
 『墓場鬼太郎』のサントラが。

 いずみたく作曲の「ゲゲゲの鬼太郎」のメロディを使わない初の鬼太郎音楽。
 和田薫は、原作のダークで奇妙な味わいを巧みに音楽ですくいとっています。

 和田さんによれば、『墓場』の話は'96年版『ゲゲゲの鬼太郎』の製作時からあったそうで、実に10年ごしの企画ということになります。東映アニメの清水プロデューサーは、『墓場』のときも音楽は和田さんと決めていたとか。そのため、和田さんは早くから原作コミックスを読んでイメージをふくらませていたのです。

 できあがった音楽は、まさに大人の味わい。小編成のオーケストラに邦楽器をからめたサウンドは和田さんの真骨頂です。

 開幕を飾る「ようこそ墓場へ」は和田さんが『墓場鬼太郎』のために設定したメインテーマ。ダークでシニカル。単純な怪奇音楽にしなかったところは、さすがに原作をよくわかってる。つづく「墓場鬼太郎」はメインテーマから派生した鬼太郎のテーマ。野沢雅子さんの声で「ケケケ」と笑う鬼太郎が目に浮かぶよう。全体に、原作の怖いだけでない、ちょっと歪んだシニカルな味わいがみごとに表現されてます。

 全11話という短いシリーズのため、用意された曲は20曲余り。サントラにはほぼ全曲が収録されています。構成・曲タイトルは和田さん自身で、「同じトーンの曲が多いので飽きずに聴いてもらえるよう工夫した」とか。OP&EDはTVサイズ収録ですが、挿入歌「君にメロロン」「有楽町で溶けましょう」はフルサイズで収録。

 惜しむらくは、製作スケジュールの都合で、#9「霧の中のジョニー」の中でジョニーが弾くギター曲が収録されなかったこと。ジョニーのギターは和田さん自身がコンテを見て演奏しているのです。実は'96年版『ゲゲゲの鬼太郎』でも、吸血鬼エリートのギターを和田さんが演奏しているので、この趣向は和田薫版鬼太郎の伝統なんですよ。MAXIシングルでもいいから発売してくれないかなぁ。

 あ、'96年版『ゲゲゲの鬼太郎』の、大量のCD未収録BGMもなんとか世に出してほしい。『墓場』の未収録とあわせて、「和田薫 鬼太郎の世界」なんてどうですか?>メーカーのみなさん。音源もあるので、すぐに出せますよ!

墓場鬼太郎 オリジナルサウンドトラック

 : 墓場鬼太郎 オリジナルサウンドトラック

snow tears (寝子版) [MAXI]
 中川翔子が歌うエンディング「snow tears」の寝子ジャケット限定版。しょこたんのコスプレ・ステッカーつき(笑)。お早めに。

 : snow tears: snow tears

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2008年03月18日

第2回 伊福部昭音楽祭

 3月16日。杉並公会堂で開催された「第2回 伊福部昭音楽祭」に足を運びました。

 第1回の会場はサントリーホール。今回は会場と趣向を変え、映画上映やシンポジウム、サロンコンサートなどをまじえた構成になりました。

 午後のサロンコンサートから参加。
 伊福部先生のギター作品のコンサートです。伊福部先生に直接ギター曲を師事した哘崎孝宏氏の演奏。小さいホールなので、指使いまではっきり見えました。私はギターを弾きませんが、かなりの難曲? コードを押さえる左手の動きがいかにも大変そう。
 途中で、「プログラムにはないですが」、とバレエ『サロメ』から「宮女の踊り」のギターアレンジ版を挿入するサプライズもあり。
 演奏の合間に伊福部先生の思い出を語られていたのが印象的でした。

 続いて、メインコンサートへ。
 1階2列目で鑑賞しました。音楽の響きを聴くには前過ぎる気がしますが、オーケストラの動きがよく見えて、これはこれでいい体験。

 オリジナル編成版の『ゴジラ』組曲が予想以上によかった。チューバが入ってないので厳密には違うんですが、映画用サントラ録音とほぼ同じ編成による再演です。8型(86442)の弦と1管編成のオケ。サントラと比べると「音がよすぎ」という人もいたようですが、私は出だしから「おおーっ、映画の音だよ!!」と感動でした。コンサートでよく演奏される「SF交響ファンタジー」版ではなく、この音こそが耳なれたサントラの音なんですよ。
 弦が少ないぶん、低音楽器やパーカッションがよく響く。弦があると響きは豊かになるんですが、印象が柔らかくなるんですね。編成が少ないのは予算の都合であることが多いのですが、それをハンデにせず、楽器の音を最大限に生かしたアレンジにして聴かせていたのが、往年の映画音楽作曲家だったわけです。その技を目の当たりにした気分でした。
 特に、「ゴジラの恐怖」の主題では、オーケストラの向かって左側、ヴァイオリンが全員休んでいるのですよ。チェロとコントラバスの低音域がずしりと響く。「こういうことか…」と感嘆しました。

 「聖なる泉」と「コタンの口笛」もよかったなあ。「聖なる泉」はモスラとインファント島の主題をコンサート用に編曲し、藍川由美さんが歌唱。ザ・ピーナッツやコスモスの歌唱とは一味違う、魂をふるわせるような歌唱です。「コタンの口笛」は、1978年に東宝レコードから発売された伝説のアルバム『伊福部昭の世界』ではじめて聴いて以来、印象に残っていた曲。あの口笛(指笛)が生演奏で再現されたことに涙。藍川由美さんのヴォーカルが入り、北の大地が目に浮かんでくるようでした。

 アンコールは、オーケストラ全員による「土俗的三連画」第1曲。終わって指揮の堀氏がそでに消えたあと、指揮者なしで「宇宙大戦争マーチ」が始まる。劇的な演出で驚きました。うしろでグランカッサを叩いていた藤田崇文氏がコントロールしていたんでしょう。

 興奮のうちに閉幕。
 終演後、パーティに参加し、司会をつとめた和田薫さんにごあいさつ。ほか、知り合いの方とお話したりして楽しく余韻にひたることができました。舞台を降りた演奏家の方たちもはればれした表情でしたね。


<set list>
サロンコンサート

  1. ギターのためのトッカータ
  2. 古代日本旋法による踏歌
  3. バレエ『サロメ』より「宮女の踊り」
  4. サンタマリア
  5. 交響譚詩

 アンコール
  ・子守歌

メインコンサート
【第1部】室内楽

  1. ピアノ組曲 (1933)
     (ピアノ:木村かをり)
  2. ヨカナーンの首級を得て、乱れるサロメ 〜バレエ『サロメ』より(2004)
     (二十五絃箏:野坂操壽/低音二十五絃箏:小宮瑞代)
  3. ヴァイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲(第一楽章) 《音楽祭特別版》(1971/2008)
     (ヴァイオリン:萩原淑子、ピアノ:木村かをり、編曲&打楽器:藤田崇文)

【第2部】管弦楽

  1. 室内オーケストラのための「土俗的三連画」(1937)
  2. 松村禎三 「Hommage to Akira Ifukube」(1988)
    ―伊福部昭映画音楽より―
  3. 交響詩「聖なる泉」(『ゴジラvsモスラ』(1992)より)
  4. 管弦楽の為の「コタンの口笛」(『コタンの口笛』(1959)より)
     (ソプラノ:藍川由美/指笛:中村倫二(4)/指揮&オーケストラアレンジ:藤田崇文(3,4))
  5. 『ゴジラ』(1954)より 《オリジナル版》
  6. 『大坂城物語』(1961)より
     (オーケストラアレンジ:和田薫)

 アンコール
  ・土俗的三連画 第1曲
  ・宇宙大戦争マーチ

演奏:伊福部昭記念オーケストラ/指揮:堀 俊輔

司会:和田薫


大阪城物語 オリジナルサウンドトラック
 この音楽祭にあわせて東宝ミュージックから発売されたサントラ。ボーナストラックつき。
 東宝ミュージックのサイトで買うことができます。

 大阪城物語 オリジナルサウンドトラック

伊福部昭の世界
 ポリスターから出た再発版。思い出深い1枚です。

 : 伊福部昭の世界

posted by 腹巻猫 at 18:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ライブ/コンサート