2009年03月30日

川井憲次、楳図かずおに挑む…「おろち」

 楳図かずおのマンガを原作にした映画『おろち』。『ケータイ捜査官7』にも参加した鶴田法男監督による映像化です。

 木村佳乃と中越典子の女の戦いが見もので、原作の「いちばん怖いのは人間の情念」というところがとてもよく生かされている。セットや空気感に楳図マンガの雰囲気がみごとに再現されていて、昔からの楳図ファンである私にも納得できる映像化でした。
 特に、キャスティングが発表されたとき、誰もが「?」となったと思う、谷村美月のおろち。意外にも違和感がない。真赤なコートで登場すると、どきりとさせられる存在感がある。ワンピース、ブーツ、右手首には包帯というおろちルックがハマってます。いいですよ。

 音楽は川井憲次。
 ホラータッチは控え目で、湿度のある音楽を提供しています。メインテーマとなる「おろちのテーマ」が出色。ミステリアスで哀感がある、川井憲次節と川井サウンドにしびれます。
 劇中歌われる童謡「またあした」と、昭和流行歌「新宿烏」の作曲も川井憲次。こういう歌を書かせるとふしぎに器用なのが川井さんなのです。

 しかし、「またあした」はサントラに収録されていますが、谷村美月歌う「新宿烏」は未収録。『おろち』DVDの初回特典CDでのみ聴けるのです。ええ、DVDも買いましたよ。

 川井憲次の音楽とともに映画の印象と余韻を深めているのが、エンディングロールにながれる主題歌「愛をする人」。シンガーソングライターの柴田淳が作詞・作曲し歌っています。この主題歌は、タイアップではなく、この映画のために書き下ろされた曲。もともと楳図ファンだという柴田さんはデモを5曲も作ってきたそうで、作品への入れ込みぶりがうかがえます。それだけの想いを感じさせる歌になっている。
 サウンドトラックには、その「愛をする人」もフルコーラスで収録。音楽と歌で濃厚な『おろち』の世界にひたれます。

おろち オリジナル・サウンドトラック

 : おろち オリジナル・サウンドトラック

おろち DVD [初回限定特典つき]

 : おろち オリジナル・サウンドトラック

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おかえり小枝…弓原七海「Seventh Sea」

 小枝(さえ)という歌手を覚えているでしょうか?

 2003年に放映された実写版『美少女先生セーラームーン』の主題歌「キラリ☆セーラードリーム!」や、2005年深夜に放送された特撮ドラマ『Sh15uya(シブヤフィフティーン)』の主題歌「せカゝι)σおわ└)(せかいのおわり)」を歌ったシンガー、というと、「ああ、あの子…」とわかっていただけるのではないかと思います。

 『Sh15uya』のときに雑誌の仕事で彼女にインタビューする機会がありました。そのとき、「渋谷は怖いです」と話してくれて、「都会ずれしてない女の子だなぁ」と思ったのを覚えています。それ以来、ちょっと気にかけていたのですね。若いのに抜群の歌唱力、そして、今のタレントでいうと福田沙紀似のルックス、魅力的なシンガーになるんじゃないか、と期待していました。CDもほとんど買っています。

 でも、ほどなくして小枝の名前は見かけなくなりました。「引退したのかなぁ、もったいないなぁ。歌を続けていてくれるといいけれど」、と思っていました。

 実は彼女、名前を変えて2006年から活動を再開していたのですね。「弓原七海」、それが今の名前です。

 そのことを知って、私もひそかにmixiコミュに入ったりして応援していたのです。そして、2009年3月、ついに、弓原七海としてのファーストアルバムが発売されました。

 7曲入りミニアルバム『Seventh Sea』。「七海」にちなんだタイトルと曲数です。

 うち、「運命の人」「あなたの声」「うさぎ」「アシアト」の4曲は自身の作詞・作曲。現在の彼女の想いが伝わってくる。小枝時代からのファンには待ちに待った1枚と言えるでしょう。歌声もそのまま。

 でも、でも、でも……

 正直言うとちょっと不満です。

 曲が地味というか、彼女の歌唱力をじゅうぶん活かしきれてない感じ。アレンジにももう一工夫ほしい。彼女はもっと歌えるシンガーだと思う。いろんな曲にチャレンジできると思うのですよ。

 でも、多くの人に聴いてほしいです。これが今の彼女です。そして、しっかりと胸をはって歩いてほしいな。応援してる。これから活躍の機会がきっと来ますよ!

Seventh Sea 弓原七海

 : Seventh Sea

double rainbow 弓原七海
 弓原七海1stシングル。2007年発売。ラジオドラマ『オーロラ戦隊プリズム騎士(ナイト)』主題歌。小枝時代の作品「せかいのおわり」のアンサーソングとして作られている。

: double rainbow

Romantic Chaser 小枝
 小枝時代の作品。2005年発売。TVアニメ『IZUMO 〜猛き剣の閃記〜』主題歌。

  : Romantic Chaser

美少女戦士セーラームーン オリジナルソングアルバム Dear My Friend
 やっぱりこの歌がなくては! 「キラリ☆セーラードリーム!」を含む『美少女先生セーラームーン」ソング集。セーラー戦士たちの歌声が初々しい。現行商品です

  : 美少女戦士セーラームーン オリジナルソングアルバム Dear My Friend

弓原七海オフィシャル・ブログ

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2009年03月26日

3月はアニメのレアタイトルDVDそろい踏み!?

 近年になってなかなかソフト化の機会にめぐまれなかった作品までもがDVD化されるようになりました。
 よろこばしいことですが、そのリリースが集中するとなかなか困ったことに。

 3月27日は、以下のタイトルのDVD-BOXが発売されます。

 『超合体魔術ロボ ギンガイザー』
 『ブロッカー軍団IV マシーンブラスター』
 『ミクロイドS』
 『ジェッターマルス』

 うち、『ミクロイドS』は過去にソフト化(LD化)されたことがありますが、ほかの3タイトルは、全話パッケージ化されるのはこれが初となります。

 『ブロッカー軍団IV マシーンブラスター』(1976年放映)は、昨年12月のG-Session Liveの際、「G-Sessionがライブで取り上げた作品は商品化される」、と(半分)冗談で言ってたらホントになってしまったという記念すべき作品。『超合体魔術ロボ ギンガイザー』とともに、日本アニメーションのもとで、実質制作は葦プロが担当した作品です。
 どちらも、ロボットのデザインや作画などツッコミどころは多く、70年代ロボットアニメの中では「こんなヘンな作品もありました」的に語られることが多い作品ですが、見どころもあります。『マシーンブラスター』は、ロボット4体が合体せずにチームを組み、主題歌にも歌われた「円月回転」「不動組み」「一文字崩し」などの必殺技(陣形)で敵を倒すところ。声の出演は、ブロッカー軍団に乗り組む4人が、安原義人、玄田哲章、津嘉山正種、つかせのりこという面々。また、博士役が加藤精三、ヒロインが麻上洋子と、今見返すとなかなかの布陣。そして音楽は、主題歌を小林亜星、劇中曲を筒井広志が担当。『超電磁ロボ コン・バトラーV』と同時期の作品なだけに、『コンV』をほうふつとさせる音楽が流れたりするのにニヤリとさせられます。

 『超合体魔術ロボ ギンガイザー』(1977年放映)は、『マシーンブラスター』に次ぐ、日本アニメーション=葦プロ・シフトの作品。ロボット+魔術というふしぎな取り合わせの作品です。こちらも声の出演が、主人公=井上和彦、博士役に小林清志、敵幹部が森功至、緒方賢一、徳丸完など、いい声をそろえたキャスティングが魅力。そして、音楽は主題歌・劇中音楽とも『宇宙海賊キャプテンハーロック』の横山菁児が担当しています。特に、エンディング主題歌の「さがしにいかないか」は、保富康午の詞、カントリー調の曲、ささきいさおのヴォーカルの3つが最大限に生かされた名曲です。今回のDVD-BOXでは、放映当時放送されなかった幻の最終2話(27、28話)がはじめて公開されます。

 『ミクロイドS』(1973年放映)は、手塚治虫原作のSFアニメ。ミクロサイズの戦士となったヤンマ、アゲハ、マメゾウの3人のギドロンとの戦いを描く作品です。音楽は三沢郷。男性コーラスで歌われるダイナミックな主題歌が魅力でした。放送途中に、オープニングとエンディングが入れ替わることになり、エンディング主題歌が速いテンポで録りなおされました。しかし、アレンジが直されたわけではなく、同じ譜面でテンポだけが速められたのです。結果、歌の印象は作曲者が意図したのとはまったく異なったものとなり、三沢郷はこのことをのちのちまで残念に思っていたそうです。

 『ジェッターマルス』(1977年放映)は手塚治虫の代表作『鉄腕アトム』を、キャラクター、設定を変えてアニメ化した作品。デザインは異なりますが、マルスの声はアトムの清水マリだし、川下博士の声も御茶ノ水博士の勝田久。子ども心に『アトム』のリメイクを意識して観ていました。でも、『ジェッターマルス』、好きだったんですよ。特にお姉さんロボット・美里(ミリ)のファンでした。声が『母をたずねて三千里』のマルコ役・松尾佳子さん! ゲストで登場する、さすらいのロボット・アディオス(声=神谷明)などのキャラクターが魅力でした。そして、歌がいい。主題歌も挿入歌も名曲ぞろいです。音楽は『マッハGoGoGo』『ジムボタン』などの越部信義。メリハリの効いた、それでいてペーソスあふれた曲を提供しています。

 という具合に魅力ある4タイトルが一度に発売されるわけです。一体どれを買えばよいのでしょう。もちろん4タイトルぜんぶそろえたいところですが・・・・・・。さしあたって『ジェッターマルス』かなぁ。

 そして、このDVD-BOXリリースに合わせて、なんと『ミクロイドS』と『ジェッターマルス』のサウンドトラックが4月22日に発売されます。もちろん、初音盤化。これも『マグマ大使』BGM集とともに<21世紀の奇跡>と呼ぶべきでしょう。

 『マシーンブラスター』と『ギンガイザー』のサントラ盤は……、残念ながら発売されないようです。

ブロッカー軍団IV マシーンブラスター DVD-BOX

 : ブロッカー軍団IV マシーンブラスター DVD-BOX

超合体魔術ロボ ギンガイザー DVD-BOX

 : 超合体魔術ロボ ギンガイザー DVD-BOX

ミクロイドS DVD-BOX

 : ミクロイドS DVD-BOX

ジェッターマルス DVD-BOX

 : ジェッターマルス DVD-BOX

ミクロイドS オリジナル・サウンドトラック

ジェッターマルス オリジナル・サウンドトラック

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2009年03月24日

天上の歌声は今も…河井英里追悼盤2タイトル

 昨年8月4日に亡くなった河井英里さんの追悼アルバム2タイトルを紹介します。発売は昨年末の12月でした。

 12月17日に『風の道へ』が、12月24日に『ひまわり』がリリースされました。

 河井英里さんは、テレビ番組のテーマ曲・挿入曲やCMソングのヴォーカリストとして、また作詞・作曲を手がけるソングライターとしても活躍したアーチスト。スタジオミュージシャンとしての活動がほとんどで、いわゆるアニメ歌手のように名が知られていたわけではありません。でも、亡くなってすぐに追悼アルバムが作られたのは、彼女の死を悼む人が多かったゆえでしょう。

 『風の道へ』は、幻となったオリジナルアルバムを追悼盤としてリリースしたもの。当初はフルアルバムの予定で1曲ずつ録音が進められていましたが、完成に至らず、1997年に、5曲だけがミニアルバム『青に捧げる』としてリリースされました。
 この追悼盤には、『青に捧げる』の5曲に加えて、当時録音されながら日の目を見ることがなかった楽曲が収録されています。表題作「風の道へ」のほか、「空色になる」、大島ミチル作曲の「時の汽車」、「ほんのひとしずくの水」、「空色になる」、「おやすみ」の5曲。さらに、ボーナストラックとして、「ほんのひとしずくの水」ライブversion、「空色になる」デモversionが追加されています。
 ブックレットには、オリジナルアルバムの制作にかかわった大島ミチルさん、音楽プロデューサー・福岡智彦さん、作詞家・藤沢晶子さんが追悼文を寄稿。それによれば、河井さんはもう1枚のオリジナルアルバムの制作にも取りかかっていたそうです。録音も開始されていたとか。いつの日か世に出してほしいです。

 『ひまわり』は、河井さんが参加したアニメ『ARIA』シリーズの音楽を中心に、未発表秘蔵音源を交えて構成した1枚。『ARIA』から「バルカローレ」独唱版、「満月のドルチェ」、「ウンディーネ」造語詞version、「コッコロ」オルガンversion、 「サンタクロウスの空」など。アニメ『スケッチブック 〜full color's〜』主題歌「たんぽぽ水車」の仮歌版と、アニメ『バンブーブレード』挿入歌「SUNFLOWER」のピアノ弾き語りによるデモ版も収録されています。
 アルバムの最後のブロックは、2008年11月30日に日本青年館大ホールで開催された『ARIA The CONCERT』から、河井さんが歌った4曲をライブ音源で収録。最終トラック「サンタクロウスの空」Live versionの演奏が終わった後、河井さんの「ありがとうございました」の声が聞こえてくる。切ない気持ちをこらえつつ、「天上の歌声よ永遠に」と祈らずにいられません。

エキサイトに『ひまわり』収録曲のミッシェル斉藤さんによる詳しい解説がありました。

風の道へ 河井英里

 : 風の道へ

ひまわり 河井英里
 ジャケットは『ARIA』の原作者・天野こずえの描き下ろし。

 : ひまわり

※追悼盤ではありませんが、『アニメヒーリングシリーズ Animage』『Animage 2』では、河井さんが「残酷な天使のテーゼ」「君をのせて」「炎のたからもの」などのアニメソングをカヴァーしています。河井さんの歌声に魅せられた方は、あわせて聴いてみてください。

posted by 腹巻猫 at 19:12| Comment(0) | TrackBack(0) | CD

2009年03月20日

21世紀の奇跡!「マグマ大使」BGM集

 最近、私の周囲で話題になっているのが、3月11日に発売された『マグマ大使』DVD-BOXです。

 『マグマ大使』は、1966年に放映された、日本初のカラー放送の特撮ヒーロー番組です(同時に連続テレビ映画としても初のカラー作品)。原作は手塚治虫。意外にも、これが初のDVD化です(ビデオ、LDはありました)。

 話題の焦点は主に3つ。

○驚異の高画質
 ニュープリント&デジタルマスタリング&画像修正によってよみがえった映像は、「ここまで見えるのか!?」という驚愕の高画質。見えてはいけないものまで見えてしまいます。

○特典映像
 これまでソフト化されなかったオープニング映像のヴァリエーションや、未使用フィルムの数々。パイロットフィルム、海外版も収録されています。

○BGM集CD同梱
 ダビング用Mテープから復刻したBGM集をCDアルバム化。

 サントラファンが一番驚いたのが3点目です。なんといっても、これまで「マスターテープの散逸」によってリリースは絶望と思われていた『マグマ大使』BGM集が実現したのですよ。
 残念ながら音楽マスターではなくダビング用のマスターですので、曲がフルサイズで入っていなかったり、レベルが上下していたりで万全の状態ではありません。その上、経年劣化によってテープはぼろぼろで、ノイズや歪みが発生しています。
 でも、まぎれもない『マグマ大使』オリジナルBGMがCD化されたことは、不満を補ってあまりある奇跡と言えるでしょう。

 音楽は山本直純。主題歌のダイナミックなアレンジは、のちの『怪奇大作戦』にもつながるものです。収録されたBGMは47曲。サブタイトル、ゴアのテーマ、アースのテーマ、マグマ大使のテーマ、怪獣出現曲など、代表的なものがほぼ網羅されています。特に東宝怪獣映画ともウルトラシリーズともまた違うアプローチの怪獣出現曲は新鮮。曲数は少ないですが、情感曲・情景曲も『男はつらいよ』などの映画音楽を連想させていいですね。
 聴いてみて気付くのは、しっかりとキャラの立った音楽であるということ。少ない編成で最大限の効果を上げるように、旋律、リズム、楽器の鳴らし方が工夫されている。これは、60-70年代の映像音楽全般に言えることでもあります。たしかに録音状態や音質はよいとは言えないけれど、それも一種の迫力となっていて、ぐいぐい引きこまれました。当時の本物が持つ力です。

 高額商品ではありますが、歴史的意義の高い復刻になりました。解説書も充実しています(解説は金田益実・伊藤秀明の両氏)。

マグマ大使 DVD-BOX

 : マグマ大使 DVD-BOX

posted by 腹巻猫 at 14:36| Comment(0) | TrackBack(0) | CD