今年冬の映画で話題になった作品の一つが『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』でしょう。
なにせこの冬は、「ウルトラ」と「仮面ライダー」と「ヤマト」が一挙公開されるすごい年。中でも、26年ぶりの復活になる『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』は、古くからのファンも巻き込んで、ちょっとした盛り上がりになりました。
しかし、『ヤマト』といえば、宮川泰先生のあの音楽。その宮川先生も、ピアニストとして『ヤマト』の音楽に参加し、『完結編』では作曲家として音楽を提供した羽田健太郎先生も今はない。音楽が重要な要素となる『ヤマト』の、新作音楽をどうするかは、ファンの大きな関心の的でした。
結果は、宮川、羽田両作曲家の音楽を新たに録音することで新旧ファンを納得させる音楽づくりが実現したわけです。
本編には、新録音された『ヤマト』の音楽に加え、チャイコフスキーやベートーヴェンのクラシック曲、山下康介さんの新曲も使われています。
山下康介さんの起用も、英断であるとともに納得の選択でした。
山下さんといえば、羽田健太郎先生の最後の弟子と言われた人。『魔法戦隊マジレンジャー』や『花より男子』の音楽で実力を示した若手作曲家です。羽田先生の音楽性を継いで『ヤマト』の音楽を支えるには、まさにぴったりの作家です。
古典から新曲まで取り混ぜた音楽をまとめる音楽監督を務めたのは、指揮者の大友直人さん。大友さんは、26年前に「交響曲ヤマト」の録音を指揮するとともに、『完結編』の音楽づくりにも立ち会っていたそうです。そのようすは、2009年春に開催された「交響曲ヤマト」のコンサートでもうかがうことができました。
『宇宙戦艦ヤマト』は私をアニメ音楽の道に引き込んだ作品と言ってよい思い入れのある作品です。『復活篇』を観て、西崎プロデューサーが総監督を務めることで、「(良くも悪くも)昔と変わらない『ヤマト』が帰ってきたなぁ」という思いを強くしました。ここ最近なかったタイプのアニメ映画です。音楽演出の巧みさは健在。そして、「やはり『ヤマト』にはこの音楽!」という感動。よい体験でした。
◎交響曲ヤマト2009
「交響曲ヤマト」の新録音版。2009年のコンサートのとき、「新録アルバムを」当ブログでも書いた願いが実現しました。劇中でも使われています。

◎宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック
劇中で使われた新録音曲、山下康介による新曲、クラシック曲などを収録したサントラ盤。THE ALFEEの歌も映画サイズで収録。
