9月27日、南青山MANDALAで開催された窪田ミナ 1st ソロ・ライブ「mina kubota first live」に足を運びました。
『ゲゲゲの女房』が25日、大好評のうちに最終回を迎えたばかり。会場は大勢の立ち見が出る、満員御礼の盛況でした。
窪田ミナのピアノに、ヴァイオリン、チェロ、ギター、パーカッション、ケルトの笛を加えた編成。『ゲゲゲの女房』の音楽録音のオリジナル・メンバーがそろいました。
演奏曲はやはり『ゲゲゲの女房』のサウンドトラックの曲が中心。1曲目からユーモラスな「作戦指令ゲゲゲ」が登場して会場を沸かせます。2曲目が貧乏の曲「木の葉と小判」。続いてチェロとピアノのデュオで「ノスタルジー」と「笑顔の思い出」の2曲をしっとりと。ピアノ・ソロ「二人の絆」をはさんで、ヴァイオリンとピアノで「切ない別れ」、チェロが入って、ピアノ・トリオで「明日への息吹」。このあたりは劇中感動的な場面に流れていた印象的な曲ばかりで、じわっと胸にしみます。
続いてはオリジナル・アルバム『モーメント』から「ハルシネーション」。『不思議の国のアリス』のようなミステリアスな雰囲気を持つ曲です。1st setのラストは窪田ミナの最初のドラマ音楽の仕事『マイリトルシェフ』からテーマ曲をアコーディオンをフィーチャーして。
休憩を入れての2nd set。1曲目は「多忙執筆胎生始動」。妖怪いそがしに取り付かれている曲ですね。2曲目「貸本漫画家事件簿」もケルト楽器をフィーチャーしたユーモラスな曲。3曲目はアイリッシュフルートとピアノで「夕空」。劇中幾度となく使われた名曲です。続いて、ヴァイオリンとピアノによる「箒星見上げて」、チェロとヴァイオリンとピアノのトリオで「茂のテーマ」。「茂のテーマ」はオリジナルではバスクラリネットがメロディを奏でるオーケストラ曲なんですが、今回はピアノ・トリオに編曲されています。同じくピアノ・トリオ版「旅立ちの風」。これも数々の名場面を盛り上げた名曲です。
2nd set 7曲目は『モーメント』から「エコーイング・サイレンス」をピアノ・ソロで。「静寂のこだま」と名づけられた曲。ピアノの響きの中に深い静寂が“聴こえる”ような味わいのある曲です。
ここで、ゲストに沖縄出身のヴォーカリスト・宮良牧子(愛称マッキー)が登場。彼女も『ゲゲゲの女房』のオリジナル・ミュージシャンなのです。ピアノをバックに「精霊のくに」、バンドをバック「ラバウル」を聴かせてくれました。「ラバウル」ではオリジナルでドゥドゥクが奏でるメロディをヴォーカルが歌う趣向。楽器の音もいいですが、人の声が持つ力に一気にひきこまれます。
次の曲は意表をついて、アニメ『ARIA The ANIMATION』のオープニング・テーマ「ウンディーネ」。マッキーのヴォーカルによる、ちょっと沖縄風の「ウンディーネ」でした。窪田ミナさんが曲紹介のとき、この曲の作詞者であり、43歳の若さで亡くなったシンガーソングライターの河井英里さんのことにさりげなく触れられて、「どこかで聴いてくれているかな」と言われたのに胸を打たれました。
続いてはバンドで「締切大脱走」。締めくくりの曲はさわやかな「花と自転車」でした。
鳴り止まない拍手に応えて再登場した窪田ミナさん。アンコールは、ピアノ・ソロで「旅立ちの風」を演奏。まだまだ拍手は鳴り止まず、もう1度バンドメンバーがそろい、「花と自転車」を再演奏して幕となりました。
ティン・ホイッスル、ロー・ホイッスル、アイリッシュ・フルート、マンドリンなどが活躍した今回のライブ、ケルト風味満点のサウンドが楽しめました。そして、窪田ミナの作り出すメロディの魅力をあらためて実感しました。窪田ミナの音楽あっての『ゲゲゲの女房』でしたね。ときにユーモラス、ときにシリアス、また、ときにあたたかく、ときにノスタルジックに。『ゲゲゲの女房』の音楽の豊かさを実感したステージでした。
そして、『ゲゲゲの女房』以外の曲もよかった。やはり『マイリトルシェフ』と『ARIA』は思い出深い仕事なのでしょう。こういう形で映像音楽が聴けるのはとても貴重です。ぜひ、オリジナル曲もまじえて、第2弾、第3弾と続けてほしいと思います。
◎モーメント 窪田ミナ
1st オリジナル・ソロ・アルバム。「マイリトルシェフ」「ウンディーネ」のセルフカヴァーも収録。
◎ゲゲゲの女房 オリジナル・サウンドトラック
◎ゲゲゲの女房 オリジナル・サウンドトラック2