2012年08月31日

「宇宙戦艦ヤマト2199」と「宮川音楽の勉強会」

 『宇宙戦艦ヤマト2199』の音楽を演奏するコンサート「ヤマト音楽団大式典2012」が11月10日(土)に舞浜アンフィシアターで開催されます。詳細は『宇宙戦艦ヤマト2199』公式サイトのニュースに発表されています。

 宮川 泰の音楽を引き継いだ宮川彬良の音楽はもちろん、ささきいさおによる主題歌、結城アイラ、美郷あきによる『宇宙戦艦ヤマト2199』エンディング主題歌も披露される予定。1日2回公演です。イープラスでは9月9日までチケット先行受付中。一般発売は10月13日から、イープラス、ローソンチケット、チケットぴあなどで開始されます。

 『宇宙戦艦ヤマト』の音楽を演奏するコンサートは何度も行われていますが、そのほとんどは「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」を取り上げたもの。TVシリーズ版の音楽が演奏される機会はほとんどありませんでした。おそらく譜面が残ってなかったり、オーケストラ編成の都合であったり、いろいろ事情があったのでしょう。「交響組曲」版とTVシリーズのオリジナルBGMはアレンジが異なっているので、熱心なTVシリーズファンとしては、「劇中で流れているそのままのヴァージョンが聴きたいなぁ」と思っていたわけです。今回『宇宙戦艦ヤマト2199』用に宮川彬良さんが『ヤマト』の音楽をオーケストレーションし直したことで、劇中で流れている音楽がそのまま生オケで聴ける機会がやってきました。実に楽しみです。

 このコンサートの予習?としても楽しみなのが、10月16日(火)に東京芸術劇場で開催される宮川彬良&大阪市音楽団のコンサート(10月14日(日)埼玉県熊谷会館の公演もあり)。
 プログラムに「『宇宙戦艦ヤマト』宮川音楽の勉強会」というコーナーが設けられています。

 宮川 泰先生はクレージーキャッツのメンバーになりたかっというくらい、冗談やダジャレが大好きでした。TVやコンサートでたびたび、「音楽漫談」とでもいうべきネタを披露しています。「ジョン・ウィリアムズのドーソー会」とか「音楽のルーツを探る」など何度聴いても面白いネタがありました。宮川 泰先生の芸風(?)も受け継いだ彬良さんはお父さんのネタもいくつか受け継いでいて、「頭からもう1回」なんて何度か披露していますね。
 「『宇宙戦艦ヤマト』宮川音楽の勉強会」は、そんなふうに楽しく『宇宙戦艦ヤマト』の音楽を研究しながら聴いてみようというコーナー(だと思います)。今年の4月22日、サントリーホールで「LIVE UNDER THE TREE ブラスの祭典 『宇宙戦艦ヤマト』」という宮川彬良さん出演のコンサートがあったときに、そのさわりを聴くことができたのですよ。宮川 泰先生の実子だからこそ語れるエピソードや曲の分析が実に面白かった。11月の「ヤマト音楽団大式典2012」ではたぶんそういうネタは披露されないんじゃないかなぁ…と思うので、10月の大阪市音楽団のコンサートも期待しているのです。

 大阪市音楽団は日本で最も長い歴史を持つと言われる交響吹奏楽団です。新聞などでも報道されているとおり、大阪市は経営的観点から音楽団への歳出を見直し(平たく言えば楽団を維持する予算はないということで)、2013年度に大阪市音楽団そのものを廃止する方針を発表しました。
 実に惜しい。
 音楽ファンとして、この流れは政治的な話以前に、「いやーな感じ」を受けるのです。それは結局、「音楽の価値をビジネスになるかどうかで決める」ということにつながっていくのではないか。自治体や企業が「ビジネスにならないからやめる」というのはやむをえないとして(それだけでいいとは思いませんが)、一般の人にまで「音楽の価値はどれだけお金になったかで決まるんだね」という気分が広がってしまいそうなのが怖い。
 ややこしい話になりそうなので深くつっこむのはやめておきますが、まずは「お金を払って聴きに行く」という形で応援したいと思います。

 20121016miyagawaakira

posted by 腹巻猫 at 08:19| ライブ/コンサート

2012年08月30日

冨田勲、初音ミクと共演

 冨田 勲先生の新作交響曲「イーハトーヴ」の世界初演公演が、来る11月23日(金・祝)に東京オペラシティコンサートホールで開催されます。

 指揮が大友直人、演奏は日本フィルハーモニー交響楽団とシンセサイザー(篠田元一)、合唱団の共演。そして一番のトピックは、初音ミクが特別出演することです。
 ボーカロイドとして誕生し、ヴァーチャル・アイドルの代表として『ユリイカ』で特集までされちゃった初音ミクですよ。3Dイメージでステージに出演し、歌も披露してくれるらしい。
 さすが、新しい試みに挑戦し続ける冨田先生です。
 このコンサートの情報が発表されると、「冨田勲 初音ミクと共演!」のニュースがネット上にたちまち拡散されました。

 しかし、初音ミクばかりが注目されるのはちょっとさびしい(ニュース性はありますけど)。

 「イーハトーヴ」のタイトルが伝えるとおり、新作交響曲は宮沢賢治の世界にインスパイアされたものです。冨田先生はこれまでにもシンセサイザーによる組曲「銀河鉄道の夜」(アルバム『冨田 勲の世界』(1977)収録)や映画音楽「風の又三郎 ガラスのマント」(1989)といった宮沢賢治作品をモチーフとした作品を発表しているし、近年のインタビューでも「宮沢賢治の世界で交響曲を書きたい」と言われていたのですね。
 冨田先生にとって宮沢賢治のは古くから関心のあるテーマであり、今回、念願であった作品が完成したわけです。冨田先生が宮沢賢治の世界からどんな音楽を創り出したのか。そこを聴きたい。

 サウンドにこだわる冨田先生ですから、今回のコンサートも、オーケストラとシンセサイザーが共演する斬新なスタイルになっている。ただ、その試み自体は、これまでの冨田先生のコンサートでも行われていました。
 で、ここからは想像ですけれど、冨田先生は「宮沢賢治の世界をステージ上に構築するために、どんなしかけがいいだろうか?」と考えたと思うのです。シンセサイザーやサラウンドや映像を使ったコンサートはもうやった。宮沢賢治といえば、山猫や電信柱や又三郎など、現実と幻想のあわいで生き生きと活躍するキャラクター=妖精や精霊みたいな存在が大きな魅力であり、なくてはならない要素だ。宮沢賢治の世界を歌うのは生身の人間よりも、そういう存在でなくては。現代の妖精といえば…そうだ、デジタルの世界に住む歌姫・初音ミクがいるじゃないか! と、パキパキとアイデアが固まって、「ねえ、こんどのコンサートに初音ミクを出演させたいと思うんだ」とコンサートスタッフに相談するしだいになったのではないかと。そうだったら楽しいなぁと思います。

 コンサートでは、「交響詩ジャングル大帝≪2009年改訂版≫」「源氏物語幻想交響絵巻」なども演奏されるらしいので、冨田ファンは必聴ですよ。チケットはチケットぴあなどで発売中です。詳細は下記サイトを参照ください。

冨田勲新制作「イーハトーヴ」交響曲世界初演公演

 Tomita_ihatov

posted by 腹巻猫 at 07:28| ライブ/コンサート

2012年08月29日

ミュージックファイル20周年

 バップの「ミュージックファイルシリーズ」が20周年を迎えたということで、オフィシャル・サイトがリニューアルされています。

Music File series Official Site

 ミュージックファイルシリーズの開始は1992年。当時バップの社員だった高島幹雄さんの企画でした。以降、シリーズは高島さんの企画・制作でタイトルを重ね、10年にわたって続きました。そのあたりの経緯はオフィシャル・サイトに記されています。

 まずは、20周年おめでとうございます。バップでのシリーズは10年で200点を越えましたが、高島さんのバップ退職とともにシリーズは中断。しかし、コロムビアやウルトラヴァイブ等の他社から発売される高島さん企画・制作の商品にも「ミュージックファイル」のタイトルは受け継がれてきました。そういう意味で、シリーズは今も現役、継続中なのです。

 で、20周年と聞いて思うのは、「もう20年!」ということですよ。ミュージックファイルが登場したとき、白いバックにタイトルロゴだけのデザインを見て、「なんだか地味だけど、面白いラインナップのCDが出たな」と思いました。それまで、現役番組でない旧作の復刻・発掘サントラの主流は、アニメや特撮ものが中心でした。キャラクター人気に支えられたタイトルが売れていた。だから、パッケージにもキャラクターを使用するのが当然だったわけです。
 そこに現れたミュージックファイルシリーズは、番組の写真を使用しないタイトルだけのジャケット。ここに、(予算の都合などもあったと思いますが)音楽だけで勝負しようという意欲を感じましたね。ここから日本のサウンドトラック状況は変わったと言ってもよい。「キャラクターを使わなくてもサントラって成立するんだ」とわかったわけです。

 とはいえ、実は「ミュージックファイル」の初期のラインナップはあまり買ってないんです。初期にリリースされた作品は刑事ドラマ・探偵ドラマ(「伝説のアクションドラマ音楽全集」)と青春ドラマ(「伝説の青春ドラマ音楽全集」)。実は私、刑事ドラマも青春ドラマもあまり好きではないんです(嫌いだということではなく、関心が薄い…思い入れがないということです)。たぶん買ったのは『俺たち勲章』『Gメン'75』『サインはV』ぐらいだったと思います。この3作品は番組と音楽が好きだった。

 だけど、次の「懐かしのテレビまんがBGMコレクション」は飛びつきました。ラインナップが『ど根性ガエル』『侍ジャイアンツ』『アイアンキング』『流星人間ゾーン』『電人ザボーガー』。これらの作品って、ファンに人気があるアニメ・特撮作品の主流ではないわけですよ。ちょっと渋いセレクションになっている。でも、だからこそ、衝撃的でした。

 このあと、90年代のサントラ状況って、ちゃんと振り返るとそうとう面白かったと思います。87年頃にアナログレコードからCDへの切り替えがあって、まだまだCDで買えるサントラってそんなにそろってなかった。そこにチャンスとニーズがあったわけです。新作・旧作入り乱れて、充実したラインナップが世に出た時代でした。

 ミュージックファイルは、そんな「90年代サントラ黄金時代」のさきがけとなったシリーズでした。タイトルを重ねることで、ファンも増え、メディアの注目も集まり、他社も旧作サウンドトラックの発売に力を入れるようになった。正のスパイラルが働いていたんです。

 今、サントラが(CD自体が)売れない時代と言われます。そうなった原因の分析は措くとして、そういう時期にミュージックファイルのサイトがリニューアルされたのは、すごく意義あることと思います。なにより、これまで発売されたタイトルが見やすくまとめられたのがいい。古くからのサントラ・ファンが楽しむだけでなく、新しいサントラ・ファンを増やすきっかけにもなると思うのです。タイトルを見ているだけで、「こんなものも出ていたんだ」「これとこれは同じ作曲家だったのか」「サントラってこんなにいろんなジャンルがあるんだ」と興味が広がるはずです。
 うれしいことに、オフィシャル・サイトのリストからは、在庫のある商品を購入することができます。「これは」とピンときたタイトルを買って聴いてみてほしい。Amazonでは品切れになっている商品が買えたりするので、古くからのファンもぜひチェックしてみてください。

 20周年を機に、ミュージックファイルの新しい展開もあるとか。すでに配信アルバムが発表されていますね。今後の広がりに注目しています。

Music File series Official Site

posted by 腹巻猫 at 06:30| 日記・コラム・つぶやき

2012年08月25日

新たなる「聖闘士星矢」

 テレビ朝日系で放映中の『聖闘士星矢Ω(オメガ)』のサウンドトラック・アルバムが発売されました。音楽は佐橋俊彦さん。腹巻猫が構成と佐橋さんのインタビューを担当しました。

 佐橋俊彦さんと『聖闘士星矢』の縁は古い。
 1991年にSMAP主演のミュージカル『聖闘士星矢』の音楽を担当したのが佐橋さんでした。1991年といえば、佐橋さんがアニメ音楽の仕事を始めたばかりの頃。それまで佐橋さんの仕事の中心はディズニーランドのショーの音楽やミュージカルの音楽で、ミュージカル『聖闘士星矢』の音楽もその流れでの仕事なのでした。
 それから20年。昨年2011年末に再びミュージカル『聖闘士星矢』が上演されることになり、音楽を佐橋さんが担当する。
 佐橋さんにとって『聖闘士星矢』は「長いつきあいの作品」なのだそうです。

 『聖闘士星矢Ω』の音楽が佐橋俊彦さんになったのは、そういう経緯を考えると、この上ない人選だとわかります。けれど、ミュージカル版とアニメ版の間にはつながりはなく、まったく別ルートで決まったのだとか。
 これが「縁」というものなのでしょう。

 映像作品では、数々のSFヒーロー・アクションものを手がけてきた佐橋さん。これまでウルトラシリーズ(『ウルトラマンパワード』『ガイア』『メビウス』)、戦隊シリーズ(『激走戦隊カーレンジャー』『星獣戦隊ギンガマン』)、「仮面ライダー」シリーズ(『仮面ライダークウガ』『アギト』『響鬼』『電王』)、「ガンダム」シリーズ(『機動戦士ガンダムSEED』『SEED DESTINY』)と、日本の人気キャラクターを制覇しています。『聖闘士星矢Ω』の音楽は、そんな佐橋さんのヒーロー音楽の最新の成果と呼べる作品になりました。熱いアクション音楽はもちろん、ギリシャ風の世界観を表現するエスニックで雄大な音楽、若き聖闘士たちの苦悩や情熱を描写する心情音楽などに、変身ヒーローものやロボットものとはひと味違う、『聖闘士星矢』ならではの魅力があふれている。
 なかでも女声スキャットをとりいれたメインテーマ(「永遠の聖闘士」)は4分を越える長尺の曲で、『聖闘士星矢』の世界観が凝縮された1曲。「音楽にもコスモ(小宇宙)が宿っている」、そう思わせるような音楽に仕上がっています。音楽で描く『聖闘士星矢』の世界、ぜひお聴きください。

 9月23日開催、佐橋俊彦トークライブもよろしく!

聖闘士星矢Ω オリジナル・サウンドトラック

 : アルバム・ジャケット

posted by 腹巻猫 at 08:24| 仕事

2012年08月23日

劇場版「FAIRY TAIL -鳳凰の巫女-」サウンドトラック

 8月18日より公開中の映画『FAIRY TAIL -鳳凰の巫女-』のオリジナル・サウンドトラック盤が発売されました。サントラ盤の構成を腹巻猫が担当しています。

 2009年より放送されているアニメ版『FAIRY TAIL』の初の劇場作品。音楽はTV版と同じく高梨康治さんが担当しました。TV版のサントラはすでに3枚発売されていますが、劇場版音楽はTV版BGMの流用ではなく、全曲新録音! 録音を重ねるごとにグレードアップしてきた高梨さんのケルティック・メタルが、劇場の大画面にふさわしいスケールとテンションで炸裂しています。ぜひ劇場で体験してください。
 そして、音楽にピンと来た方は、CDも聴くしかない! 劇場で流れるサウンドとはまた異なる、アルバム用にマスタリングされたパワフルかつ繊細なサウンドが楽しめます。

 さびしいことに映画公式サイトには主題歌CDの情報しかない。アニメファンにもビジネス的にも歌もののほうが注目度が高いからと思いますが、映画の情感をリードする劇中音楽の魅力をもっとアピールすべきでは? TVシリーズを3年間盛り上げてきた音楽の力は『FAIRY TAIL』の世界を支える魔法のようなものですよ。サウンドトラックもよろしくお願いします。

劇場版『FAIRY TAIL-鳳凰の巫女-』オリジナル・サウンドトラック

 : アルバム・ジャケット

posted by 腹巻猫 at 07:06| 仕事