11月10日、舞浜アンフィシアターで開催された『宇宙戦艦ヤマト2199 ヤマト音楽団大式典2012」に足を運びました。
昼夜2回の公演で、私は夜の部を観覧。
『宇宙戦艦ヤマト』の音楽の魅力を演奏と歌と上映で味わう、高揚感に満ちたイベントでした。とにかく、21世紀に『ヤマト』の音楽イベントに参加できることが幸せです。
舞浜アンフィシアターはディズニーランドに隣接するイベントホールです。コンサート会場というよりもシアター風の作り。初めて訪れたのですが、立地といい建物のデザインといい、日常を離れた夢の空間という雰囲気が『ヤマト』のイベントにはぴったりという感じでした。
3部構成で、第1部は吹奏楽による「ヤマトサウンドの世界」、第2部は『宇宙戦艦ヤマト2199』第11話「いつか見た世界」の先行上映、第3部が「主題歌による『宇宙戦艦ヤマト』の世界」という内容。
第1部は120人からなる吹奏楽団の演奏が圧巻。演奏は「ヤマト音楽団」。このイベントのために結成された「大阪市音楽団」と「土気シビックウインドオーケストラ」の混成楽団で、リズム隊を含め総勢120名からなる大オーケストラです。これに混声合唱団が加わるという編成。指揮は宮川彬良さん。
宮川彬良さんによる曲解説をまじえつつ『ヤマト』のBGMを生演奏で楽しむ趣向でした。ここでまさか「虹の彼方に」や「ベン・ハー」のネタが出てくるとは思わなかったので、「え、それやるの?」という感じで軽く驚きました。彬良さんがコンサートでよく披露する「ヤマトサウンド勉強会」のネタなんですが、今回は純粋に音楽を楽しむ趣向だと思っていたので、これはないと思ってたんです。私は同じネタをサントリーホールと東京芸術劇場で聴いていて、もう3回目。それでも楽しく聴けたので、彬良さんのコンサートはこれが初というヤマトファンは楽しめたのではないでしょうか。今回は「ヤマト渦中へ」などの『宇宙戦艦ヤマト2199』のための新曲が聴けたのが収穫でした。
第2部は来年1月に公開される『宇宙戦艦ヤマト2199』第四章「銀河辺境の攻防」より第11話「いつか見た世界」の先行上映。ドメル将軍の登場とともに、今後の新展開を期待させるエピソードです。
第3部は、ささきいさお、Yucca、結城アイラ、美郷あきによる『ヤマト』主題歌のライヴ。
ささきさんがあまりステージで歌ったことがなかったという「テレサよ永遠に」「ヤマト!! 新たなる旅立ち」「ヤマトよ永遠に」に聴き入りました。「ヤマト!! 新たなる旅立ち」は宮川泰先生もお気に入りだったという名曲です。ちょっぴり歌詞が怪しかったのはご愛嬌。Yuccaさんは宮川彬良さんのピアノで「ラブ・シュープリーム〜至上の愛〜」を披露。ここまでが昭和『ヤマト』シリーズを主題歌で振り返るコーナーで、続く3曲は『宇宙戦艦ヤマト2199』から。第1章〜3章のエンディング「星が永遠を照らしている」「美しい地球を知る者よ」「真っ赤なスカーフ」の3曲が結城アイラさん、美郷あきさん、ささきいさおさんのヴォーカルで歌われました。
「星が永遠を照らしている」と「美しい地球を知る者よ」は今回生で聴くことができて、「あ、これもヤマトソングだなぁ」とあらためて愛着がわきました。畑 亜貴さんの詩は「星が永遠を照らしている」が「真っ赤なスカーフ」のアンサーソング、「美しい地球を知る者よ」がヤマトクルーの決意を歌った歌になっていて、聴きこむほどに味わいがあります。また、結城アイラさん、美郷あきさんの二人が『ヤマト』本編に愛情を持って歌っていることを知って、歌に宿る思いにちょっとじーんとしてしまいました。
ささきさんの「真っ赤なスカーフ」は宮川彬良さんによる『ヤマト2199』用のアレンジ。オープニングの「宇宙戦艦ヤマト」はオリジナルよりテンポが遅くなっているんですが、「真っ赤なスカーフ」のほうは逆にテンポがやや速くなっている。不思議な印象です。
ラストは「宇宙戦艦ヤマト」を出演者、会場の全員で歌って幕。ヤマト音楽団のメンバーも会場も全員起立しての斉唱は、「大式典」らしいフィナーレでした。
『宇宙戦艦ヤマト』は私にとって特別な作品です。中学・高校生時代から地元でファン活動を行っていたのは『ヤマト』の影響ですし、この作品がなければ、サントラの仕事をしていなかったかもしれません。それだけに今回の「大式典」は自分の原点に立ち返るようなイベントでした。
欲を言えば第1部でもっと音楽だけをたっぷり聴きたかったなぁと思います。第3部の大半がカラオケによる歌唱だったことも惜しまれます。せっかく楽団がいるのだから、「宇宙戦艦ヤマト」「テレサよ永遠に」「ヤマト!! 新たなる旅立ち」「ヤマトよ永遠に」などは生オケで聴きたかった。
もちろん、生演奏ならではの感動的な演出もありました。第1部では生のワンダバ・コーラス入りの「コスモタイガー」が聴けたこと、第3部では宮川彬良さんのピアノをバックにYuccaさんの歌声が聴けたことです。「生音の力」を感じさせるパフォーマンスでした。
実は今回、いちばん感動したのがYuccaさんの生声を聴けたことなんです。Yuccaさんはサントラへの参加も多いソプラノ歌手で、第1部では『ヤマト』の代表曲と呼べる「無限に広がる大宇宙」のスキャットを披露してくれました。『ヤマト2199』本編BGMのスキャットももちろんYuccaさん。そして、佐藤直紀さんが音楽を担当した映画『SPACE BATTLESHIP YAMATO』で「無限に広がる大宇宙」のスキャットを担当していたのもYuccaさんなのでした。佐藤直紀作品への参加は多く、『龍馬伝』テーマ曲のヴォーカルもYuccaさん。彼女には、かつての川島和子さんのような「天上の歌声」を歌う歌姫として活躍してもらいたいです。
◎宇宙戦艦ヤマト2199 オリジナルサウンドトラック Part.1
宮川彬良の手で再現されたオリジナルBGMと新曲を収録。挿入歌「ガミラス国家」「銀河航路」も聴ける。

◎Queen Of The Night
Yuccaベスト・アルバム。『龍馬伝』や『SPACE BATTLESHIP YAMATO』からの楽曲も収録。

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