2012年11月17日

丘 灯至夫作品を歌う会

 11月16日、お誘いいただいて品川プリンスホテルで開催された「丘灯至夫作品を歌う会」に参加してきました。
 音楽関係者、知人、ゆかりの方など100人あまりが参加して、丘 灯至夫先生を偲び、作品を歌う催しでした。つい、11月3日に、故郷・福島県に銅像が建てられ、除幕式が行われたばかり。そのときのようすも紹介されました。

 丘 灯至夫(おか・としお)は2009年に亡くなった作詞家。コロムビア専属の作詞家として活躍し、数々の昭和歌謡の名曲を生み出しました。
 私より一回りくらい上の世代には、「東京のバスガール」「高原列車は行く」「高校三年生」などが有名らしいのですが、私はリアルタイムでは聴いていません。
 丘 灯至夫先生というと、なんといっても『ハクション大魔王』であり、『昆虫物語みなしごハッチ』です。
 アニメ・特撮ソングでは、上記2作をはじめ、『紅三四郎』、『樫の木モック』、『けろっこデメタン』、『決断』、『風船少女テンプルちゃん』、『新造人間キャシャーン』(挿入歌)、『とんでもヒーロー ムテキング』(挿入歌)など、タツノコプロ作品が多かった。メルヘンタッチで叙情性のある作品が印象に残ります。SFアクションもの『新造人間キャシャーン』は意外に映りますが、人間でなくなった哀しみを胸に秘めて戦うキャシャーンや月光によみがえる母の姿など、アクションだけではない雰囲気がフィットしたのでしょう。
 また、『人造人間キカイダー』や『仮面ライダーV3』では、共作の形で多くの挿入歌を手がけています。これはおそらく、専門の作詞家でない方が書いた詩を補作する仕事ではなかったかと想像しています。

 それにしても、1917年生まれの丘先生がアニメソングの詩を本格的に書き始めたのは50歳近くになってから。それから70台まで、膨大な作品を書き続けました。瑞々しい乙女心を歌った『キャンディ・キャンディ』の挿入歌なんて、60歳のときの作品なのですから驚きます。私のお気に入り作品は、『人造人間キカイダー』の挿入歌「悪魔が今日も笛をふく」。渡辺宙明先生のメロディ・アレンジともども、『人造人間キカイダー』ソング中の名曲のひとつです。

 丘先生の作品は明るい中にペーソスを込めた詩が多く、青春期や思春期のあこがれと切ない想いを歌った歌がとりわけ心に残ります。永遠の青年みたいな方だったのでしょう。その歌が今でも人々の胸に残り、歌い継がれていることに感動した「歌う会」でした。

丘灯至夫さんの胸像を除幕 (福島民報)

タツノコプロ大全集

 : アルバム・ジャケット

みんなで歌おう!みなしごハッチ

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人造人間キカイダー/キカイダー01 MUSIC-BOX

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posted by 腹巻猫 at 10:02| イベント

2012年11月12日

ヤマト音楽団大式典!

 11月10日、舞浜アンフィシアターで開催された『宇宙戦艦ヤマト2199 ヤマト音楽団大式典2012」に足を運びました。
 昼夜2回の公演で、私は夜の部を観覧。
 『宇宙戦艦ヤマト』の音楽の魅力を演奏と歌と上映で味わう、高揚感に満ちたイベントでした。とにかく、21世紀に『ヤマト』の音楽イベントに参加できることが幸せです。

 舞浜アンフィシアターはディズニーランドに隣接するイベントホールです。コンサート会場というよりもシアター風の作り。初めて訪れたのですが、立地といい建物のデザインといい、日常を離れた夢の空間という雰囲気が『ヤマト』のイベントにはぴったりという感じでした。

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 3部構成で、第1部は吹奏楽による「ヤマトサウンドの世界」、第2部は『宇宙戦艦ヤマト2199』第11話「いつか見た世界」の先行上映、第3部が「主題歌による『宇宙戦艦ヤマト』の世界」という内容。

 第1部は120人からなる吹奏楽団の演奏が圧巻。演奏は「ヤマト音楽団」。このイベントのために結成された「大阪市音楽団」と「土気シビックウインドオーケストラ」の混成楽団で、リズム隊を含め総勢120名からなる大オーケストラです。これに混声合唱団が加わるという編成。指揮は宮川彬良さん。
 宮川彬良さんによる曲解説をまじえつつ『ヤマト』のBGMを生演奏で楽しむ趣向でした。ここでまさか「虹の彼方に」や「ベン・ハー」のネタが出てくるとは思わなかったので、「え、それやるの?」という感じで軽く驚きました。彬良さんがコンサートでよく披露する「ヤマトサウンド勉強会」のネタなんですが、今回は純粋に音楽を楽しむ趣向だと思っていたので、これはないと思ってたんです。私は同じネタをサントリーホールと東京芸術劇場で聴いていて、もう3回目。それでも楽しく聴けたので、彬良さんのコンサートはこれが初というヤマトファンは楽しめたのではないでしょうか。今回は「ヤマト渦中へ」などの『宇宙戦艦ヤマト2199』のための新曲が聴けたのが収穫でした。

 第2部は来年1月に公開される『宇宙戦艦ヤマト2199』第四章「銀河辺境の攻防」より第11話「いつか見た世界」の先行上映。ドメル将軍の登場とともに、今後の新展開を期待させるエピソードです。

 第3部は、ささきいさお、Yucca、結城アイラ、美郷あきによる『ヤマト』主題歌のライヴ。
 ささきさんがあまりステージで歌ったことがなかったという「テレサよ永遠に」「ヤマト!! 新たなる旅立ち」「ヤマトよ永遠に」に聴き入りました。「ヤマト!! 新たなる旅立ち」は宮川泰先生もお気に入りだったという名曲です。ちょっぴり歌詞が怪しかったのはご愛嬌。Yuccaさんは宮川彬良さんのピアノで「ラブ・シュープリーム〜至上の愛〜」を披露。ここまでが昭和『ヤマト』シリーズを主題歌で振り返るコーナーで、続く3曲は『宇宙戦艦ヤマト2199』から。第1章〜3章のエンディング「星が永遠を照らしている」「美しい地球を知る者よ」「真っ赤なスカーフ」の3曲が結城アイラさん、美郷あきさん、ささきいさおさんのヴォーカルで歌われました。
 「星が永遠を照らしている」と「美しい地球を知る者よ」は今回生で聴くことができて、「あ、これもヤマトソングだなぁ」とあらためて愛着がわきました。畑 亜貴さんの詩は「星が永遠を照らしている」が「真っ赤なスカーフ」のアンサーソング、「美しい地球を知る者よ」がヤマトクルーの決意を歌った歌になっていて、聴きこむほどに味わいがあります。また、結城アイラさん、美郷あきさんの二人が『ヤマト』本編に愛情を持って歌っていることを知って、歌に宿る思いにちょっとじーんとしてしまいました。
 ささきさんの「真っ赤なスカーフ」は宮川彬良さんによる『ヤマト2199』用のアレンジ。オープニングの「宇宙戦艦ヤマト」はオリジナルよりテンポが遅くなっているんですが、「真っ赤なスカーフ」のほうは逆にテンポがやや速くなっている。不思議な印象です。
 ラストは「宇宙戦艦ヤマト」を出演者、会場の全員で歌って幕。ヤマト音楽団のメンバーも会場も全員起立しての斉唱は、「大式典」らしいフィナーレでした。

 『宇宙戦艦ヤマト』は私にとって特別な作品です。中学・高校生時代から地元でファン活動を行っていたのは『ヤマト』の影響ですし、この作品がなければ、サントラの仕事をしていなかったかもしれません。それだけに今回の「大式典」は自分の原点に立ち返るようなイベントでした。
 欲を言えば第1部でもっと音楽だけをたっぷり聴きたかったなぁと思います。第3部の大半がカラオケによる歌唱だったことも惜しまれます。せっかく楽団がいるのだから、「宇宙戦艦ヤマト」「テレサよ永遠に」「ヤマト!! 新たなる旅立ち」「ヤマトよ永遠に」などは生オケで聴きたかった。
 もちろん、生演奏ならではの感動的な演出もありました。第1部では生のワンダバ・コーラス入りの「コスモタイガー」が聴けたこと、第3部では宮川彬良さんのピアノをバックにYuccaさんの歌声が聴けたことです。「生音の力」を感じさせるパフォーマンスでした。
 実は今回、いちばん感動したのがYuccaさんの生声を聴けたことなんです。Yuccaさんはサントラへの参加も多いソプラノ歌手で、第1部では『ヤマト』の代表曲と呼べる「無限に広がる大宇宙」のスキャットを披露してくれました。『ヤマト2199』本編BGMのスキャットももちろんYuccaさん。そして、佐藤直紀さんが音楽を担当した映画『SPACE BATTLESHIP YAMATO』で「無限に広がる大宇宙」のスキャットを担当していたのもYuccaさんなのでした。佐藤直紀作品への参加は多く、『龍馬伝』テーマ曲のヴォーカルもYuccaさん。彼女には、かつての川島和子さんのような「天上の歌声」を歌う歌姫として活躍してもらいたいです。

宇宙戦艦ヤマト2199 オリジナルサウンドトラック Part.1
 宮川彬良の手で再現されたオリジナルBGMと新曲を収録。挿入歌「ガミラス国家」「銀河航路」も聴ける。

 : アルバム・ジャケット

Queen Of The Night
 Yuccaベスト・アルバム。『龍馬伝』や『SPACE BATTLESHIP YAMATO』からの楽曲も収録。

 : アルバム・ジャケット

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posted by 腹巻猫 at 17:35| ライブ/コンサート

2012年11月05日

鮎川麻弥 LIVE for follower's

 11月3日、原宿「La Donna」で開催された鮎川麻弥さんのライヴ「鮎川麻弥 LIVE for follower's」に足を運びました。

 これは、鮎川さんがファンのために昨年から開始している「ファンの集い的」なライヴで、クイズコーナーがあったりして、アットホームな雰囲気で楽しめるイベントです。
 といいつつ、今回の鮎川さん、第1部ではシックな黒のワンピースドレスで登場。「風のノー・リプライ」ボサノバ・アレンジという驚きの選曲でスタートしました。バンドはピアノ/キーボード(永見往也氏)とギター(野口真伍氏)の2人だけ。鮎川さんの艶のある歌声でしっとりと大人の歌を満喫する趣向でした。

 第2部は一転してノリのよい曲を集めたアニメソング特集。『機動戦士Zガンダム』『重戦機エルガイム』などの主題歌にまじって、『機動戦士ガンダムZZ』主題歌「サイレント・ヴォイス」(オリジナル歌手:ひろえ純)をカヴァーしたのが印象的。
 このあとファン参加のクイズ大会となり、成績優秀者が商品を獲得。マニアックな鮎川麻弥クイズだったのですが、私なんかおよびもつかないすごい鮎川麻弥ファンが集まっていて、全問正解者が6人もいましたよ。

 CMソングも多数歌っている鮎川さん、docomoの「TOGETHER」のCMの女声ヴォーカル、鮎川さんだったのですね。これは気づきませんでした。

 11月2日のMIQさん、3日の鮎川さんと、スターチャイルド・レーベルで活躍した歌姫2人のライヴを2日続けて聴けたのはうれしかったです。お二人とも、変わらぬパワーと歌唱力で歌い続けているのがすばらしい。80年代のアニメソングって、子ども向けから脱皮しつつ、ちゃんと作品に寄り添った曲に仕上がっている、そのバランス感覚がすばらしいと思うのです。のちのタイアップ曲やアーティスト主導で作られたアニメソングにはない魅力があります。ひと言でいうと(言えないけど)、楽曲として自立しつつきちんと作品の世界観を内容した曲である、というところでしょうか。その歌の魅力とともに、当時のシンガーのみなさんが現在も輝き続けている。そのことに勇気と元気をもらえた気がします。

鮎川麻弥 パーフェクト・ベスト

 : アルバム・ジャケット

posted by 腹巻猫 at 16:04| ライブ/コンサート

MIQデビュー30周年記念コンサート

 11月2日、なかのZERO小ホールで開催された「MIQ デビュー30周年記念コンサート 明日のキヲク〜歌のチカラ〜」に足を運びました。

 『戦闘メカ ザブングル』挿入歌「HEY YOU」でデビューして30年。おめでとうございます!

 当時は「MIO」の名で活動していましたから、そちらの名前で覚えているファンが多いでしょう。『聖戦士ダンバイン』『重戦機エルガイム』『星銃士ビスマルク』『エリア88』など、80年代にキングレコードが制作したアニメ主題歌やイメージソングの印象が強烈です。ソウルシンガーのような独特のヴォーカルは、串田アキラさんの登場とともに「新しいアニメソングの時代が来た」と感じさせるものでした。それから30年、タイアップ曲が多くなったアニメソングですが、MIOさんが活躍した80年代アニメソングの独特の輝きは今も色あせてないと思います。

 コンサートは3部構成。休憩なしの約3時間という長丁場でした。バンドは4リズムに女声コーラス1人、ホーン3人(トランペット、トロンボーン、サックス)を加えた編成。アニメソングだけでなく、カンツォーネやCMソング、オリジナル曲、洋楽カヴァーなど、ヴォーカリストとしての実力と音楽性の広さを感じさせるバラエティに富んだ選曲でした。その歌声からソウルやR&Bを歌う姿がイメージされるMIQさんが、デビュー前にカンツォーネを歌っていたというのは驚きでした。

 なかでも印象に残ったのは、亡くなった前野曜子さんが歌った「COBRA」(『スペースコブラ』主題歌)。大野雄二のアニメ主題歌の中でもきわめつけの名曲をMIOさんがカヴァーするという、涙ものの1曲でした。MIOさんの歌声がまたイメージぴったりで原曲の雰囲気を再現してるんですよ。この曲は長く歌い続けてほしいです。
 また、MIQさんの故郷である鳥取県のヒーロー「鳥取戦士サキューン」のテーマソングもインパクトがありました。原曲はTVアニメ『天体戦士サンレッド』の挿入歌(作詞・作曲・歌:柿島伸次)。王道ヒーローソングのテイストと鳥取名物を歌い込んだユーモラスな雰囲気をあわせ持った歌ですが、これをMIQさんが故郷への愛を込めて歌うところが感動的なんです。
 珍しいところでは、門脇大輔さんのヴァイオリンをフィーチャーした「月詠幻想」がありました。これは鳥取の『ゲゲゲの鬼太郎』ファンが自主制作したアニメ『女禍』のテーマソングでMIQさんが名前を出さずに歌った歌だそうです。正規リリースがないのが惜しまれます。

 もちろん、自身のアニメソングも当時のままの歌声でファンを熱狂させてくれました。「ダンバインとぶ」「HEY YOU」「GET IT!」「エルガイム -Time for L.GAIM-」などのノリのよい曲も素敵でしたが、ギター一本で歌った「わすれ草」が味わい深かったです。30周年にふさわしいお腹いっぱいのコンサートでした。

 ご本人はほんとうに気さくですばらしい方で、パワフルなステージとあたたかい素顔が共存しているのが魅力です。これからも元気で末永く歌い続けてください!

MIO(MIQ) パーフェクト・ベスト
 「ダンバインとぶ」「エルガイム」などの英語版も収録したベスト!

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STARLIGHT SHOWER
 1stアルバム。

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Mr.Monday Morning
 2ndアルバム。

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鳥取戦士サキューンのテーマ -MIQ ver.- [MAXI]
 『天体戦士サンレッド』に登場した鳥取ヒーロー『鳥取戦士サキューン』のテーマソング。

 : アルバム・ジャケット

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posted by 腹巻猫 at 09:29| ライブ/コンサート

minimums 15周年!

 11月1日に六本木スイートベイジルで開催された「minimums 15th Anniversary Live」に足を運びました。久しぶりに3人のパーカッションを堪能しました。

 minimumsは女性3人のパーカッション・ユニットというユニークなグループです。ちょっと過去のブログを調べたら、私がはじめてminimumsのライブに足を運んだのが2006年でした。そのときすでに結成8年は経っていたってことですよね。15年という時の重みを感じます。あらためておめでとうございます。

 スイートベイジルはminimumsにとっても結成10周年ライヴを行った思い出深いライブハウス。近年はジブリ作品のテーマ曲をカヴァーした『ジブリの森』やYMOをカヴァーした『YMO vs minimums』など意欲的な取り組みを見せているminimumsですが、この日は3人それぞれが思い入れのある曲から選曲。ラテンやジャズ、アイリッシュなどを中心に息の合った演奏を聴かせてくれました。どのくらい息が合ってるかというと、3人とも譜面なし。全曲暗譜で複雑なパーカッションのかけあいを演奏していたのですから驚きです。さまざまなパーカッションの響きがライヴ会場を深い森に変えてしまう「Black Bird」、激しいかけあいが続く情熱的な「Caribe」、村松崇継さん作曲のおなじみのナンバー「紙について思う僕のいくつかの事」、アンコールの「スペイン」など、「あ、やっぱりこれがminimumsだよなぁ」と思わせる円熟のサウンド。15年磨き上げてきた演奏とチームワークが生み出す充実のライヴでした。

ジブリの森〜山本二三の世界〜
 mp3で購入できます。

 : アルバム・ジャケット

minimums vs YMO
 mp3で購入できます。

 : アルバム・ジャケット

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posted by 腹巻猫 at 07:44| ライブ/コンサート