9月1日、東京芸術劇場で開催された「円谷プロダクション創立50周年記念 ウルトラマンシンフォニーコンサート2013」に足を運びました。
まずは円谷プロダクション創立50周年おめでとうございます。
自分は『ウルトラQ』の本放送が初めての強烈なテレビ体験で、以来、円谷作品にどっぷり。ウルトラシリーズと『宇宙戦艦ヤマト』がなかったら、現在のような仕事は選んでなかったでしょう。そのくらい、円谷作品の音楽には思い入れがあります。
今回のコンサートは、円谷プロの50年を振り返るイベント。20年前の「円谷プロダクション創立30周年記念 ウルトラマンシンフォニーコンサート」が頭をよぎりますが、30周年記念のときはウルトラシリーズ中心の選曲だったのに対し、今回はあまり演奏会でも取り上げられることのない作品が演奏されたのが感激でした。
『ウルトラQ』の宮内國郎先生の音楽でスタート。あの特殊楽器を使ったメインタイトルを生演奏で聴いたのは初めてです。そして、メインタイトルの前に不気味な予兆を感じさせるBGMが演奏された時点で、もう感動。
宮内先生のBGMがコンサートで本格的に取り上げられることって、実に珍しいのではないでしょうか。生ブラスによる『ウルトラQ』の音楽。「円谷ファンでよかった」という感慨がわきおこってきました。
エレキギター、エレキベースの入った「ウルトラQのテーマ」に続いて、「科学特捜隊のテーマ」「ULTRA SEVEN(歌なし)」「MATのテーマ(ワンダバなし)」「帰ってきたウルトラマン(インストゥルメンタル)」。以上の「ウルトラマンメドレー」が1曲目でした。「科学特捜隊のテーマ」以降は原曲は歌やコーラスが入っていますが、オーケストラでじっくり聴くとメロディやアレンジの工夫が伝わってきて、歌とは異なる聴きごたえがあります。
2曲目は「円谷作品メドレー」。「快獣ブースカ」「恐怖の町(『怪奇大作戦』)」「ミラーマンの唄」「ファイヤーマン」「ジャンボーグA」「MJの歌」という、コンサートではレアな曲てんこもり。なかでもブラスアレンジがダイナミックな「恐怖の町」とジャジーなアレンジがほどこされた大人っぽいコーラス曲「MJの歌」に感動しました。
ここまででもうお腹いっぱい。少年時代の大半を円谷作品とともにすごした身には、まさに自分の血肉となった曲たちです。聴きにきた甲斐がありました。
続いては21世紀のウルトラシリーズから、『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』『ウルトラマンギンガ』の音楽をオーケストラで。これもオケならではの迫力ある演奏が圧巻。『ウルトラマンゼロ』の川井憲次さんの音楽にはしびれました。
中西圭三さん、jammin'Zebとつるの剛士さんによる「ウルトラマン主題歌メドレー」で1部は幕。
2部はオーケストラの演奏をバックにウルトラマンと怪獣(宇宙人)の対決を生で見せるという趣向の「ウルトラマン バトルシンフォニー」から。ウルトラマン、ウルトラセブンと、バルタン星人、メトロン星人が客席から登場し、子どもたちばかりでなく、大人たちからも喝采を浴びていました。
しかし、私はそれよりもバックに流れる演奏がまたしても宮内國郎先生の「ウルトラマン」のBGMだったことにじーんとなっていました。クラシックに根差した冬木透先生の音楽ももちろんすばらしいですが、ジャズがベースにある宮内音楽には魂ゆさぶられます。いつか、「ザ・ウルトラマン」や「交響詩ウルトラマン」をホールで聴きたいものです。
次のコーナーはアニメ監督の庵野秀明さんが登壇し、リクエストにより『帰ってきたウルトラマン』M13「夕陽に立つウルトラマン」と「マイティジャックの歌」を演奏。庵野監督の「魂の2曲」だそうで、その選曲には深く共感・納得しました。
2部の後半は冬木透先生指揮による「交響詩ウルトラセブン」。何度も聴いた曲ですが、生演奏で聴くのはやはり格別です。
いいコンサートでした。「あの曲もやってほしかった」という声もあるでしょうが、またの機会に期待しましょう。
会場に収録用のカメラが入っていたので、放送または商品化されると思います。会場に行けなかった方もお楽しみに。
◎円谷プロダクション 創立50周年記念 円谷プロの世界II ★ULTRA ANTHOLOGY★1966〜2013
円谷プロダクション50年の歴史を音楽で綴ったアーカイブ。CD7枚組。
