2007年08月18日

3分間のドラマ・阿久悠の詩の世界

 8月1日、作詞家の阿久悠さんが亡くなりました。享年70歳。

 歌謡曲の分野で膨大な数の名曲を残し、「昭和の詩人」と呼ばれました。
 が、アニメ・特撮の分野でも印象深い仕事をたくさんしています。

 なにより有名なのは『宇宙戦艦ヤマト』。第1作から使われた主題歌「宇宙戦艦ヤマト」、エンディング「真赤なスカーフ」をはじめ、「好敵手」「テレサよ永遠に」「銀河伝説」などなど、「ヤマト」シリーズの歌はほとんど阿久悠の作。
 ほかにアニメでは、『デビルマン』『ミクロイドS』『ミュンヘンへの道』『太陽の子エステバン』『ザ・ウルトラマン』『宇宙船サジタリウス』などの主題歌を担当。
 特撮番組では『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』『ファイヤーマン』『ワイルドセブン』『スーパーロボット レッドバロン』『スーパーロボット マッハバロン』などで少年たちの心をつかみました。

 ときにキャッチー、ときに抒情的、といわれる阿久悠さんの詩ですが、私は、歌謡曲の仕事も含め、「まさに3分間のドラマだなぁ」と思っております。

 強烈なメッセージ性を持った保富康午さんや山川啓介さんの詩とはまた異なり、物語を持った詩だと思うのですね。それを、聞き手をひきつける絶妙の語り口で表現した。

 たとえば「宇宙戦艦ヤマト」の歌いだし、「さらば地球よ 旅立つ船は」や、「ウルトラマンタロウ」の「ウルトラの父がいる ウルトラの母がいる」、あるいは「デビルマン」の「あれはだれだ だれだ だれだ」などなど、どれも、キャッチーであると同時に「次どうなるんだろう?」という興味をそそる、実にうまい「語り出し」だと思うわけです。

 それに、本編の設定や物語がちゃんと織り込まれている。ヤマトは「宇宙の彼方 イスカンダルへ 運命せおい いま飛び立つ」、デビルマンは「裏切りものの名をうけて すべてをすてて戦う男」、「ウルトラマンレオ」では「宇宙にきらめくエメラルド 地球の最後が来るという」。もうこれでじゅうぶん、説明不要!って感じです。

 主題歌だけで1個の物語になっている。歌を聴くだけで、1本のドラマを見せられたような強い印象が残ります。

 その秘密は、阿久悠さんの経歴にあります。

 阿久悠さんは大学卒業後、『月光仮面』などの製作でも知られる宣弘社に勤務。企画課に所属してCM制作などにかかわりました。当時の企画課長、つまり阿久さんの上司は『仮面ライダー』などの脚本家として知られる伊上勝。阿久さんはもともとは脚本家志望で、伊上さんの下で勉強したそうなのです。
 阿久さんの詩のドラマ的な構成はだからこそ、なんですね。

 ちなみに、主題歌を作詞した『スーパーロボット レッドバロン』は宣弘社の作品ですが、製作は阿久さんが退社したあとなので、阿久さんは作詞家としてのみの参加でした。

 個人的には、「鳥の詩」「目覚めた時には晴れていた」「もしもピアノが弾けたなら」「でんでん虫」など、坂田晃一さんとのコンビによる数々のドラマ主題歌が思い出深いです。

人間万葉歌〜阿久悠作詩集
 阿久悠ワールドを集大成した5枚組。テーマ別に編集されている。

 : 人間万葉歌〜阿久悠作詩集

posted by 腹巻猫 at 12:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記・コラム・つぶやき
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