2012年08月13日

渡辺宙明「ライオン保安官」CD化!

 Soundtrack Pubの「名曲再発見」コーナーで紹介した話題です。

 渡辺宙明先生作曲・編曲の「ライオン保安官」が7月25日に発売されたアルバム『水木一郎 キッズソング・ベスト3!』で初CD化されました。
 「ライオン保安官」は番組のテーマ曲ではないため、長らく収録の機会に恵まれなかった作品。1979年の作品ですから、宙明先生の作品でいえば、『スパイダーマン』と同時期ですね。子ども向けのオリジナル・ソングですが、宙明節全開。ファンならぜひ聴いていただきたいと思います。のちの「宇宙刑事」シリーズの音楽にも通じるサウンドが聴けて、興味深い。

 同じCDにやはり宙明先生作曲・編曲の「はしれ!スーパーカー」も収録。こちらはCD化済(『超空想サーキット〜歌のスーパー・グランプリ〜』に収録)ですが、やはり宙明節全開の曲なので未聴の方はぜひチェックください。ほかにも、越部信義、小森昭宏、冨田勲、宇野誠一郎、有澤孝紀らが曲を提供しています。

 2011年6月に発売された『眞理ヨシコ歌手生活50周年記念アルバム うたつむぎ』というCDがあります。これにも渡辺宙明先生の「ちいさいおおきい」というオリジナル曲が収録されました。こちらも越部信義、小森昭宏、冨田勲、いずみたくらの作曲作品が収録されています。渡辺岳夫作曲の「ちいさいかわのうた」を真理ヨシコさんが歌ったトラックもあり、ファンは要チェックです。

水木一郎 キッズ ソング・ベスト3!

 : アルバム・ジャケット

眞理ヨシコ歌手生活50周年アルバム うたつむぎ

 : アルバム・ジャケット

posted by 腹巻猫 at 06:52| CD

2012年08月08日

「YAMATO SOUND ALMANAC」にふくらむ期待とあれこれ

 結局、何度も買ってしまうわけです。『宇宙戦艦ヤマト』のBGM集。アナログ時代から何枚買ったことか…。

 コロムビアから発売が始まった「YAMATO SOUND ALMANAC」シリーズ。「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの音楽を2年間かけて体系的にリリースしようという壮大なプロジェクトです。第1弾の4枚が発売中です。

 『宇宙戦艦ヤマト BGM集』は記念すべき第1作のオリジナルBGM集。音源そのものはすべて既発ですが、今回、新たにマスターテープからマスタリングを行い、Blu-spec CDでリリースされました。構成・曲順は「ETERNAL EDITION File No.1 宇宙戦艦ヤマト」を踏襲したもの。ただし、前回は複数曲1トラックで収録されていたBGMが、1曲1トラック収録になっているので、たいへん聴きやすくなりました。「あの曲を聴きたい」と思ったときに一発で選曲して聴くことができる。これはすばらしい。

 気になるのは、Amazonのコメントにもありますが、主題歌がオミットされたこと。純粋にBGM集としてはこれでよいのでしょうが、作品の雰囲気を再現する構成としては、やはりTVサイズ主題歌があったほうがよい。これが第1作のみの仕様なのか、今後リリースされる『宇宙戦艦ヤマト2 BGM集』や『宇宙戦艦ヤマトIII BGM集』でも同様なのか、気になるところです。まさか、全巻購入特典グッズ(CD?)に収録されるなんてことは…。

 注文としては、これだけのプロジェクトですから、「ETERNAL EDITION」シリーズでも掲載されていないBGMリストを掲載してほしかった。BGMリストというのは、研究資料としても重要であるばかりでなく、BGMを興味深く聴くためにも必須であると思うのです。よくできたBGMリストからは、「こういう発注を受けてこの音楽ができたのか」とか、「この曲とこの曲は同じカテゴリなのね」とか、「このモチーフがこちらの曲にも使われているから、同じ意図を持った曲なんだ」といった発見や関心が生まれてきます。将来のサントラファン、サントラ研究家を育てるためにも、ぜひ検討してもらいたい。まさか、全巻購入特典グッズに掲載されるなんてことは…。

 『宮川泰の世界〜宇宙戦艦ヤマト』は初CD化となる1枚。ライブ音源ですが、宮川泰の肉声や羽田健太郎のピアノが聴ける、貴重なアルバムです。高橋達也と東京ユニオンの演奏もいい(サントラファンには『西部警察PartII』メインテーマの演奏でおなじみ)。そして、ハネケンの粋なピアノ。もう涙出てきちゃいます。こうしたライブ録音のアルバム、純粋サントラファンからはあまり重視されないきらいがありますが、音楽を楽しむという観点からは、もっと注目されてほしいです。「サントラじゃないから」と敬遠しているファンはぜひ聴いてほしい。作曲家自身によるアレンジ、指揮、演奏など、その日しか聴けない一度限りの「音楽」を刻んだ、貴重な記録ですから。

 今後、シリーズは初CD化アルバム、初商品化音源を含む形で続いていく予定です。注目は、長年ファンからCD化が待望されていた『宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ』(9/19発売予定)。ポリドールからの発売だったため、これまで復刻の機会がありませんでした。『宇宙戦艦ヤマト2』のBGMとして使用されたこともあるので、サントラファンとしても見逃せません。また、廃盤となっていた『Sound Fantasia 宇宙戦艦ヤマト』もうれしい復刻。これはヤマトの効果音に注目した商品で、柏原満さんのオリジナル効果音がたっぷり聴ける貴重なアルバムでした。

 いっぽう、リマスタリングされているとはいえ、既発アルバムを買いなおすかどうか、ファンには悩ましい選択もあります。『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』なんて、何枚も持っているので今回はまだ買っていません。ああ、でもやっぱり買おうかなぁ…。期待しつつ、悩みつつ、今後の発売を楽しみにしたいと思います。

YAMATO SOUND ALMANAC (コロムビア公式サイト)

YAMATO SOUND ALMANAC 1977-I「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」

 : アルバム・ジャケット

YAMATO SOUND ALMANAC 1977-II「SPACE CRUSER YAMATO」

 : アルバム・ジャケット

YAMATO SOUND ALMANAC 1978-I「宮川泰の世界〜宇宙戦艦ヤマト」

 : アルバム・ジャケット

YAMATO SOUND ALMANAC 1974-I 「宇宙戦艦ヤマト BGM集」

 : アルバム・ジャケット

posted by 腹巻猫 at 07:52| CD

2012年08月07日

「お荷物小荷物」とミニモーグ

 『お荷物小荷物』は1970年から72年にかけて朝日放送系列で放送されたTVドラマ。現在は最終話しか視聴がかなわない幻のドラマです(横浜放送ライブラリーで観られる)。そのサウンドトラック盤が発売されるというのだから、ただただ驚き。快挙というほかありません。

 収録された音楽はテーマ音楽を含むBGM11曲と佐々木剛が歌う歌が2曲。アルバムとしては物足りない感じですが、これが現在発見されているすべての音楽です。
 そして、本アルバムの目玉は60ページにおよぶブックレット。加藤義彦氏の筆で充実の解説・内容紹介が綴られています。音楽・佐藤允彦、主演・中山千夏へのインタビューや佐々木守のエッセイ採録も貴重。巻末には第1話の台本をまるまる収録と、サウンドトラックというよりも、音と本で番組を再現するCDブック的なパッケージです。

 佐藤允彦のインタビューが興味深い。第2部「カムイ編」では入手したばかりのミニモーグを使用したと語り、CDにもその音楽が収められています。これが、「日本で最初に輸入された3台」のうちの1台で、「残る2台は冨田勲とNHKが購入した」と続くのですが、先の「渡辺宙明トークライブ Part3」へおいでいただいた方はお気づきのとおり、実はもうミニモーグはもう1台輸入されていて、それを買ったのが渡辺宙明先生でした。つまり、「ミニモーグの最初期の輸入は4台で、冨田勲、佐藤允彦、渡辺宙明、NHKが1台ずつ購入した」というのが真実ではないでしょうか。

 『お荷物小荷物』カムイ編の放送は1971年12月から。これは、『人造人間キカイダー』の放映よりも7か月早い。おそらく、日本のTVドラマでもっとも早く音楽にシンセサイザーを取り入れた作品ではないかと思われます。それが、『お荷物小荷物』という挑戦的なドラマだったというのは、なかなか「らしいなぁ」と思います。

 このサントラ、TVドラマ史、TV音楽史的にも貴重なリリースであるのはもちろん、サウンドトラックという商品のこれからを考える上でも示唆に富んだものと思いました。音源を発掘するだけでなく、使われた作品のことやドラマの中での音楽の役割を検証して、解説書にまとめる。そうした手間暇をきちんとかけることが、映像音楽文化を残し、新しいファンや研究者を育てていくことにつながるはずだ、とあらためて思ったのでした。この試みが支持されるなら、「DVDのおまけでないサントラ」の存在価値も、確実にあると思います。

テレビドラマ「お荷物小荷物」音楽編

 : アルバム・ジャケット

posted by 腹巻猫 at 08:32| CD

2012年07月03日

夏の叙事詩「この空の花―長岡花火物語」

 大林宣彦監督の最新作『この空の花―長岡花火物語』が各地の劇場で公開中です。

 舞台は信州・長岡、夏の夜を彩る花火大会が題材、そして監督は『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の大林宣彦、と聞くと、リリカルで後味さわやかな映画を期待してしまいます。が、そんな期待を抱いて映画を観始めるととまどうことになる。現在と過去、戦争の記憶と東日本大震災の記憶、生者と死者、さまざまな要素が渾然となって、ひとつに収斂していくというより、壁画のように並置された映像叙事詩としてつづられていきます。

 この映画の題材となった長岡の花火大会(長岡まつり花火大会)。実は私もここ数年、毎年足を運んでいるイベントです。信濃川上空に繰り広げられる花火の競演は、日本一といってもおかしくない壮大な大絵巻となります。
 この花火大会、もともとは第二次大戦の長岡大空襲の犠牲者慰霊と復興の想いをこめて始まったものでした。映画『この空の花―長岡花火物語』はそうした経緯にインスパイアされた作られた作品なのでした。

 音楽は、テーマ曲を久石譲が作曲、アレンジと劇中音楽を山下康介が手がけました。山下さんはもともと大林映画に縁が深い作家で、1996年から大林映画に参加。名アレンジャーとして音楽面を支えてきました。今回も、クレジットは「映画音楽」との表記ですが、シーンに合わせた緻密なアレンジと音楽演出は山下さんの手腕です。その点、もっと大きく評価されてしかるべきだなと思いました。

 サウンドトラック盤はインディーズ・レーベル(PSC)からの発売。一般のショップでは販売されていません。私は劇場で買いました。そういえば、山下さんが音楽を担当した映画『理由』(宮部みゆき原作)のサウンドトラック盤も一般発売のないインディーズでのリリースでした。これもサントラ冬の時代のあらわれでしょうか。もったいないなぁ。
 サントラ盤には山下さんのスコアに加え、伊勢正三が歌う主題歌「それは遠い夏」、劇中でパスカルズが演奏する曲「花火」も収録。ブックレットには學草太郎による楽曲解説も掲載され、サントラ盤としては申し分ない出来。それだけに、広く手にとってもらいたい。劇場に行かれた方はぜひサントラ盤もお買い求めください。

 上映劇場情報は、映画公式サイトで(サントラの通信販売もしています)。

映画「この空の花―長岡花火物語」公式サイト

 Konosoranohana

posted by 腹巻猫 at 08:08| CD

2012年07月02日

感涙! 坂田晃一作品集!

 『坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス』が6月27日にソニー・ミュージックより発売されました。CDとしては初の坂田晃一作品集です。

 坂田先生は私の大好きな作曲家のひとりです。昨年、アニメ映画『コクリコ坂から』の主題歌に坂田先生の名曲のひとつ「さよならの夏」が採用されたという報を聞き、「坂田晃一再評価のきっかけになれば」と願っていたのが実現しました。Soundtrack Pubでも折に触れて坂田晃一作品を紹介してきましたので、ファンとして、ほんとうにうれしい。

 坂田晃一は、日本テレビグランド劇場や読売テレビのドラマの数々で音楽を担当。美しく切ないメロディでドラマの雰囲気を盛り上げました。「さよならをするために」(『3丁目4番地』)、「もしもピアノが弾けたなら」(『池中玄太80キロ』)など、ヒットした曲は誰もが耳にしたことがあるでしょう。
 NHKでは連続テレビ小説『雲のじゅうたん』『おしん』、大河ドラマ『おんな太閤記』、時代劇『日本巌窟王』『立花登・青春手控え』『茂七の事件簿 ふしぎ草紙』などを担当。『雲のじゅうたん』は音楽も含め、大好きな作品です。
 そして、アニメの代表作が『母をたずねて三千里』『ふしぎな島のフローネ』『南の虹のルーシー』といった名作アニメ。私が坂田晃一の名をはじめて意識したのが『母をたずねて三千里』でした。縁あって、のちにコロムビアで2枚組のサントラを構成・解説を担当することができ、はりきってとりくんだものです。思い出に残る仕事となりました。

 SoundtrackPubでも紹介したことがありますが、70年代にアナログレコードで坂田先生のドラマ主題歌を集めた『冬と夏の物語 坂田晃一の世界』というLPが発売されています。また、『いんてぃめっと ダ・カーポ/グランド劇場を歌う』というLPもありました。70年代の坂田メロディの人気をうかがわせる商品です。
 今回の『坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス』は21世紀版『冬と夏の物語』とでも呼べる企画で、文字通り代表作が網羅されています。聴いているだけで、もう涙・涙。「こんな美しい曲を書く作家がほかにいるだろうか」と感涙必至です。

 ボーナス・トラックにはドラマ主題歌以外から3曲を収録。これもなかなか貴重。ブックレットにはインタビューも掲載され、坂田晃一入門としてはこれ以上ない1枚となっています。
 「最近美しいメロディを聴いてないな」という方、テレビドラマ主題歌の豊穣な世界に触れてみたいという方、ぜひ、手にとってみてください。

 できれば、今回未収録になった曲を集めたPart2も実現してほしい。『坂田晃一 NHKテーマトラックス』や『坂田晃一 アニメ・テーマトラックス』も。これは自分が作りたいです!

坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス

 : アルバム・ジャケット

posted by 腹巻猫 at 06:26| CD